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    *Hello Nico Another World

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2015.10.02

■魔女は夜ささやく [小説 マキャモン]

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ロバート・R・マキャモン/
魔女は夜ささやく〈上〉』『魔女は夜ささやく〈下〉』(2003)文藝春秋

17世紀末アメリカ。判事ウッドワードと書記マシューは、カロナイナ植民地チャールズ・タウンからファウント・ロイヤルへ馬車を進めていた。途中立ち寄った宿で強盗に遭い、命からがら逃げ出し、やっと目的地にたどり着いた。
そこは、作物が枯れ果て、殺人と放火で疲弊し、魔物に脅える荒廃した町だった。果たして魔女と疑われた未亡人レイチェルが犯人なのだろうか…ミステリー

単行本を入手したのだが、手元に届いてその豪華な装丁に驚いた。手書きの牧歌的なイラストに金色に輝く帯…児童小説かよ(lll゚Д゚)
おまけに2冊合わせて6,000円近くする…マキャモンはずいぶん出世したものだな。でも、文庫がまだ出ていないようなので、あまり売れていないのでは(;´Д`A ```
今後の翻訳出版に影響するから、こういう大胆な販売路線はいかがなものか。

最初から「魔女」というテーマから逸脱したエピソードで、読み進めづらい。
そして、やはり「魔女」とは関係ない疑わしい奴やら何やらがてんこ盛りで、冗長。2段組のボリュームが必要なのかと心の中で文句タラタラ。
でも、そこが内容に深みが増し、伏線があちこちに仕込んであって、読後感が心地良い要因でもある。

本作は正統派のミステリーで、あれやこれや推理を楽しみながら読んだ。
元来のファンの為にちょっぴりエログロも加味されたラブロマン・サスペンス、そして若きマシューの成長物語と言えよう。
内容的には万人向けなのだが、やはりこのボリュームでは、手に取る人は少ないかもしれない。
あ~、面白かった! マキャモン大好き!

それにしても、住民はレイチェルが処刑された後も、町が好転しなかったらどうするつもりなんだろう?
何でも、悪い事が起こったのはアイツのせいと、他人を責めて訴訟をおこす昨今の日本の状況にも疑問を感じる。八つ当たりでしかない。

Speaks The Nightbird by Robert McCammon

2015.09.25

■少年時代 [小説 マキャモン]

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ロバート・R・マキャモン/著『少年時代上下(1996)文春文庫

アラバマ州の小さな町ゼファーに住む少年コーリー。彼は時々、牛乳配達をしている父の仕事を手伝っている。
1964年3月の半ばまだ寒い時期の早朝、父のトラックに乗っていたところ、突然前方から車が飛び出し、運転席にいた男もろともサクソン湖に沈んでいった。コーリーは見た、殺人者らしき男を…ドラマ

これも『スワン・ソング』と共に永い間冬眠させていた本。
ホラーが好きでファンになったマキャモンだから、なかなかこの小説は読めずにいた。スティーヴン・キングの『スタンド・バイ・ミー』は好きだけど、『デッド・ゾーン』はもっと好きなのと同じだ。
良い小説だが、私の好みとは違う。具体的に言えば、“イケメンも良いけど、私の好みは武蔵なのだよ”みたいなものだ…あまり例えになっていないヾ(;´Д`A

話がそれた。
去年読んだので、記憶があやふやな部分がある。もう一度ひととおり読んでから感想を書くべきだろうが、積読がたまっているので、いつになるか分からないから、とりあえず今この時点の記憶だけでいいやヾ(´ε`*)ゝ

冒頭ではサスペンスのような雰囲気だが、全体的には寂れゆく町の朴訥な人々の日常で、12歳の少年の目というフィルターを通して語っているので、奇妙で魔法に満ちている。
ザ・レディにムーン・マン、オールド・モーゼズにルシファー、裸のヴァーノンにガンマンのキャスコート、ネモにブランリン兄弟、レベルにロケット!

一番好きなのは夏の最初の日。4人と4匹が空高く舞い上がり、眼下のゼファーの町を一望する。
眩しいくらい青くみずみずしく、頭の中に自由なイメージが広がる。文字の表現だけで、人の心を動かすマキャモンが素晴らしい。

グーグルマップでゼファーってどこかなと探しても、よく分からない。ただ、バーミンガムの北東にサクソンズ湖というのがあり、近くにはコーリーズ湖とコーリー湖がある。

後味爽やか、おとぎ話のような小説だった。

Robert R. McCammon『BOY'S LIFE』

2015.09.24

■遙か南へ [小説 マキャモン]

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ロバート・R・マキャモン/著『遙か南へ(1995)文藝春秋

身体に問題を抱えたベトナム帰還兵・ダン、彼は仕事も家も失い、追い詰められていた。相談に訪れた銀行で、誤って人を撃ってしまい、逃亡。1万5千ドルの懸賞金を賭けられた。
その金を狙って、弟を腹に抱えたフリントとブルドックを抱えたペルヴィスの賞金稼ぎがダンを追う…サスペンス/ミステリー

国の為に戦い、傷付いた真面目な男・ダンに次々と降りかかる災難。
最初から暗く、憂鬱になるような滑り出しで、本の帯にある“ここにも「少年時代」のぬくもり”って、嘘だろうと思いながら鬱々と読み進めていた。

ダンの頭の中で、ベトナム戦争中の悪夢がフラッシュバックとして時折よみがえり、その部分をまたもや飛ばしてしまいたくなった。
だけど、映画『ジェイコブス・ラダー』と同様、話の流れとして重要なのだろうと、何とか我慢しながら休憩をとりつつつ読んだので、集中力に欠けてしまい、気持ちが散漫になってしまった。

ダンに同情しつつ、牧師や元妻の思いやりに共感しつつ…しかし、途中参加のアーデンも愛すべきペルヴィスもお荷物だし、話がどこに向かっているのか、だんだん分からなくなってしまう。
予想だにしない話の展開に私の心は翻弄されてしまう、なんでこうなるの!?
私の想像に反して、とことん期待を裏切ってくれる。だから、マキャモンが好きなのかもしれない…私が考え付くような内容だったら、わざわざ本を買いはしない。

しかし、こんな偶然はあり得ないでしょ。
3本腕のフリークスとエルビス・プレスリーのそっくりさんと顔の半分が痣に覆われた女性が出会うなんて、「オズの魔法使い」かよ。
これはRPG、旅の仲間が集まって、悪い奴と戦い、幸せを手に入れるファンタジー。

タイトルは「Gone South(ゴーン・サウス)」、イカれてしまった、死んでしまった、向こう側へ行ってしまった等。
だけど、「She is looking for a bright girl with friends(ブライト・ガールを探して)」に変えた方が良いのでは?

一番好きなのは“恐竜の兄弟”、アカディアのトレインと共にルイジアナ州ホーマのバイユーであの頃の再現をする。
確かに、ここだったらダンは余生を平穏に過ごせるかもしれない、そんな土地

最近は読みながらグーグルマップで頭に描くイメージを補強している。マキャモンは実在の土地を舞台に書いているので、頭の中でアメリカ旅行している気分にさせてくれる。
彼は伏線も回収してくれて、すっきり爽やかな結末に余韻が心地良い小説家だな。でも、私はホラー短編「ベスト・フレンズ」で好きになったはずなのに(´-д-`)

Robert R. McCammon『Gone South』

2015.09.22

■スワン・ソング [小説 マキャモン]

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ロバート・R・マキャモン/著『スワン・ソング
上下(1996)福武文庫

米ソの冷戦時代、緊張が高まり、核のボタンが発射され、アメリカは焦土と化した。
分厚い雲に太陽は遮られ、長い冬が始まり、植物は芽生えず、水は汚染された。生き残った人々は少ない食べ物やガソリン、武器などを巡って命を奪い合う…近未来SF

マキャモンは好きな作家なのだが、購入当時はすでにSFを読まなくなっていた。
子供の頃は、大人になったら宇宙へ気軽に旅行できるようになると思っていたら、大して文明は発展していなくて、がっかりした。エイリアンだってUFOだっていまだに証明されていない。SFって夢物語で、はっきり言って嘘じゃん(フィクションですから)と…失望してしまっていた。
それからかれこれ20年、本棚に冬眠させていたら、すっかり黄ばんでしまったよ(;´Д`A ```
こんなに年月が経って、年をとり、何でも許容できるようになって来たので、読んでみた。

最初は、とても読みにくく、内容に入り込むまで何度も同じ場所を読んだりして時間がかかった。
だいたい、気が狂ったホームレスに感情移入なんかできる訳も無いし、色々な人物が登場し、群像劇のようで把握しにくかった。
やっとバラバラの人物が集約され始めた“ポーポーの店”から俄然、面白くなって来た。

心優しい巨人ジョシュと植物の気持ちがわかる少女スワン、娘を失い心の均衡を欠いていたバッグ・レディのシスターと孤独を愛するポール、過去の名誉にすがるマクリン大佐とゲームおたくのローランドの3グループがいつ出会うのか !?
『マイン』を読んだ時と同様の焦燥感が再びよみがえり、“ハラハラドキドキ今日も眠れない”状態が続いた数日だった。

あっさり上巻の最後で会うのかなぁ~と期待していたのだが、まさか7年も経過していようとは、思いもよらなかった。同じような所を互いにウロウロしてたんかいな~ ┐(´д`)┌ヤレヤレ
特に後半になってからは、先が気になって仕方無く、ジョン・レノン&オノ・ヨーコの『ダブル・ファンタジー』のように、マクリンとローランドの部分を飛ばして読んでしまった(=´Д`=)ゞ
そう、スワンとシスターの出会いを確認してから戻って読み直したよ、反則だね。
でも、AOE部分は映画『マッドマックス』っぽくって世紀末って感じ。

深紅の目の男の存在は不要だったんじゃないかな? 善があるなら、悪も登場させなきゃバランスが悪いけど、悪が中途半端で、情けない。卑屈で薄っぺらい存在だった。
最後は、こんな風に終わるのか !? 素直にストーリーは進まず、全体的にひねりの効いた展開で、こんなに分厚く読み応えがあるのが納得できる本だった。

ROBERT R. McCAMMON『SWAN SONG』