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    *Hello Nico Another World

2006.11.02

■ブラック・ダリア [映画 JE編]

The Black Dahlia
ブラック・ダリア』(2006)アメリカ
 監督:ブライアン・デ・パルマ 出演:ジョシュ・ハートネット 他

1947年ロサンジェルス、空地で無残な死体が発見された。被害者はブラック・ダリアことエリザベス(ベティ)・ショート、女優を目指す娼婦。
元ボクサー・ミスター・アイスとミスター・ファイアこと警官・リーとバッキーは彼女に魅了され、捜査にのめり込む…ミステリー

生きている時は無名だったが、死んだ後で皮肉にも有名になってしまった“ブラック・ダリア事件”からインスピレーションを得て書かれたジェイムズ・エルロイの小説『ブラック・ダリア』を原作とした映画。

ジョシュ・ハートネット、ホアキン・フェニックス、ジュード・ロウは好きな男優だ。
リー役のアーロン・エッカートもなかなか良かった。
しかし、エリス・ロウ、ラス・ミラードのイメージが…そして肝心のブラック・ダリアに魅力が感じられない。
だから、どうして二人がそこまで魅きつけられたのかが分からないまま、感情移入もできず冷静に映画を観てしまった。
突然、目先の事しか考えないリー、正義感溢れるバッキーを描かれても観ているこちらが困惑。

興味があったのは生きていない彼女をどう見せるのか。
デ・パルマは徐々に観客に慣れさせて行った。しかし、この映画にホラーは不要。

小説で私が好きなのは後半部分、バッキーの焦燥感。前半のリーとケイとの関係は人物描写に深みは与えるが別に無くてもいいと思っていた。しかし、この映画は恋愛がメイン。
結局、ストーリーをはしょっていて散漫な感じ。でも、デ・パルマはこう来たか、よく話をつなげたなと感心。雰囲気と音楽は良い映画だった。

やはり、映画より先に小説は読むものじゃない、思い入れがある本はなおさらだ。映画『L.A.コンフィデンシャル』の方が面白かったよ。
Elizabeth Short Elizabeth Short
追記:銃撃戦のシーンはかっこよかった。

2006.09.29

■White Jazz [作家 JE編]

White Jazz by James Ellroy
WHITE JAZZ -エルロイ:わが内なる暗黒』(1995)紀伊國屋書店

イギリスのテレビ局channel4が製作した、作家ジェイムズ・エルロイが語る自伝『わが母なる暗黒』のビデオ版。

攻撃的な小説からイメージされるエルロイとは違い、地味な風貌と落ち着いたトーンの声、しかし眼差しは鋭い。
そんな彼の口から発せられる、シュールで詩的な言葉の数々。
ジャズをバックにL.A.の都会的な風景が映し出され、時々モノクロのレトロな映像が差し挟まれる心地良い雰囲気。
だけど途中に、草むらの中の既に息をしていない人の映像が時々現れるので注意が必要である。

『わが母なる暗黒』は、確か父と母の過去は書いてあっても、親子3人で暮らしていた時期と両親離婚後の母と暮らした短い期間の記述が少ない。
彼の人生は、1958年10歳の時、母・ジニーヴァが何者かに殺され、父親・リーとの自堕落な暮らしから始まったかのようである。

彼が11歳の時に父親から買い与えられた『ザ・バッジ』。
子供にこんな本を見せるかよ、とツッコミたくなるような写真がふんだんな犯罪実話本(たぶん)。
その中の“ブラック・ダリア=エリザベス・ショート”に魅せられた思春期のエルロイ。
誰でも、ヒーローに憧れるもの。孤独な彼は空想の中で“ブラック・ダリア”を救うストーリーを作り出したのではないか。しかし、現実の彼女を変える事が出来ず、事件の周辺及び関わった人々を妄想し書いたのが『ブラック・ダリア』だったのかも。

そして、犯人が未だ捕まらず、終わりにできない母の死。
その事件の謎を36年を経て、調べた際に出会ったストーナー保安官。彼はストーナーに理想の父親像を重ねたのかもしれない。

ジェームズ・エルロイ好きにしかお薦めできない52分間の字幕付きビデオ、私は満足している。

2005.09.05

■ロサンゼルス・ホミサイド [映画 JE編]

LA County 187/L.A. Sheriff's Homicide
ロサンゼルス・ホミサイド』(2000)アメリカ

休業中のヌード・バーが放火され、2階に住む中国系一家4人が犠牲となった。目撃者は隣人の男ただひとり「長身で太めのラテン系が車で走り去った」と証言する。
その後、焼け跡から家族写真が発見され、被害者宅にはもうひとり9歳の少年テディがいた事が分かった。

ジェイムズ・エルロイ脚本のTVサスペンス・ドラマ。
珍しく保安官助手の女性が活躍していて、告知されていなければエルロイが書いたとは気付かずにいただろう。
ちょっと、ヒントが大きすぎてネタバレ気味だけど、安心して観る事ができる正統派刑事物。日本の○○サスペンス劇場よりずっとおもしろい。
出演者が中堅どころと言った感じがいいのかな、ミゲル・フェラーが出演していて、落ち着いた巡査部長役。
特に、進展の無い捜査の過程を独白の形で静止画を使っていたのが、あせっているはずなのにむしろ冷静な雰囲気で良かったな。

2005.08.30

■クライム・ウェイヴ [小説 JE編]

Crime Wave
ジェイムズ・エルロイ/著『クライム・ウェイヴ』(2000)文藝春秋

1973年、母と同じジーンという名前を持つ若い人妻が殺された。その日から人生が狂ってしまった残された家族達。
エル・モンテ市警はじまって以来二件目の未解決事件である。一件目は15年前ほど前、被害者はエルロイの母。

11編のフィクションとノンフィクションが収録された短編集。「過去から」は『ハリウッド・ノクターン』の書下ろしに加筆修正したもの。

ノンフィクションの方が淡々と事実を述べていて、エルロイは“こうだ”と断定せずに、読者に考える余地を残していて、興味深く読めた。
特に印象に残った文章は、

負い目は膨らむ。あなたの最期の恐怖は、わたしの手を焼く炎。
「マイ・マザーズ・キラー」P118

問題が真に人種の壁を越えるのは、彼が二人の罪のない人間を殺し、黒人と白人のあいだの二人の子供の人生を破壊した卑劣漢だということを、黒人と白人が一致して認めたときである。
「セックス、虚飾、そして貪欲 O・J・シンプソンの誘惑」P429

スピーディでスリルが感じられるフィクションの方には実在の人物が登場する。リアルさを表現したいのか、話に厚みが加わるが、いかんせんイメージが定着しているので、先入観ゆえ感情移入できなかった。
しかし、ラリったフランク・シナトラが恐るべきオーラを発しながら、「アヴェ・マリア」をBGMにイエス然として登場し、可哀そうな子供達を救う部分は爽快でおもしろかった。
「ティファナ・モナムール」P285~

2005.06.27

■わが母なる暗黒 [小説 JE編]

My Dark Places
ジェイムズ・エルロイ/著『わが母なる暗黒』(2004)文春文庫

母の死から30数年を経てたどるエルロイの自伝的小説。
1.「赤毛の女」殺害された母の当時の捜査について
2.「写真の少年」小説家になるまでの自分自身について
3.「ストーナー」母の死を調査するパートナーについて
4.「ジニーヴァ・ヒリカー
  母を殺害した犯人と失われた母自身について

不必要な事柄まで事細かに記され、緻密なところはさすがエルロイ。事実にからめて自分自身の思いや記憶を取り混ぜた、非常に読みやすい本だった。しかし、ドキドキするような内容では無く、淡々と語られていたので、読み終わるまでかなり時間がかかってしまった。

彼の過去については、それをウリにしているような節があったので知っていたが、ジェイムズが本名では無いという事を初めて知った。
いずれにしても稀有な人生、そしてドン底から這い上がって来た彼も素晴らしく、記憶力も良い。色んな事が積み重なって彼独特の小説が書かれたという事が分かった。

常々思うのは、普通の人が当たり前の事を書いても目立たない、普通と違うからこそ、注目される。それは有名人にも言える事で、抜きん出るモノがあるからこそ、多くの人が知る事となる。エルロイは持って生まれたモノもあるだろうが、彼の経験に裏打ちされているのかもしれない。
そして何よりも、自分の母を殺害した犯人をここまで調べる事自体、滅多に出来ない事ではないだろうか。

印象に残ったのは、もちろん彼の悲惨な過去もあるが、ラヴォンヌとの出会い、ジャネットとエドが喜んだ事、10歳にして永遠に別れてしまった生前の母を知る部分も好感。
そして555ページ「教えてほしい」、『ホワイト・ジャズ』でクラインも心の中で叫んでいた。やはりこの本に出てくるリッチーはエルロイの投影か…

2005.05.16

■ユリイカ-ジェイムズ・エルロイ [作家 JE編]

Eureka -James Ellroy
ユリイカ12月臨時増刊 総特集
ジェイムズ・エルロイ/ノワールの世界」Vol.32-16(2000)青土社

・作家/馳星周と映画評論家/滝本誠の対談
・評論家、作家、文学者、翻訳家、映画監督などによる寄稿
・ノワール作家ガイド

ネットでこの本の存在を知り、Amazonに注文してみた。届いてみたら、読みでがある評論本。
店頭にあったら手に取りはするけれど、棚に戻してしまうようなたぐいの本でちょっと後悔。でも、対談は結構面白いし、巻末の作家ガイドも参考になる。しかし、全部読む事はないだろう。

『わが母なる暗黒』を読む前に、気軽に読める本を探している。
Amazon和書トップの「こんにちは、ハロニコさん。本のおすすめがあります」を初めてクリックしてみた。
ジェイムズ・エルロイ、トマス・ハリス、パトリシア・コーンウェル…は分かる。しかし、ビジネス本やH本は何? 私、そんな趣味じゃないわよ。確かに男のような趣味嗜好してるけど…

キム・フォックスこれを書いていたら、ラジオからとてもキュートな歌声が聴こえて来た。
Kim FoxLadybug
夢見るようだ。

2005.05.15

■ハリウッド・ノクターン [小説 JE編]

Hollywood Nocturnes by James Ellroy
ジェイムズ・エルロイ/著『ハリウッド・ノクターン』(1994)文春文庫

7編の中・短編集。
最初の「過去から」は前書きのような感じでエルロイが自身の思い出などを語っている。
この文章がおだやかでとても感じが良く、アコーディオン弾きの歌手/俳優ディック・コンティーノとの逸話も書いている。ここで私の先入観が出来上がってしまった…
次の中編「ディック・コンティーノ・ブルース」が白々しく、あり得ない事のように感じてしまい、B級、C級小説のように薄っぺらく思えてしまったのがとても残念。
しかし、他の短編はそれなりに楽しめた。
「アクスミンスター6-400」オチがあっておもしろい、エヴァンズがいい感じ。
「おまえを失ってから」父と娘と犬の悲しいお話。特に最後3行のバズ・ミークスの言葉が好きだ。
「甘い汁」保護観察中の男とお犬さまバスコーとの愛の物語。

私はドロドロしたエルロイの小説が好きだから、サラッとした短編は物足りないけど、他の本よりもずっと読みやすく、エルロイ初心者向けと言えるのではないか。間違っても『ホワイト・ジャズ』を最初に読んじゃいけないよ。
次は『わが母なる暗黒』の予定だけど、ヘヴィーそうだからちょっと気が進まない。もっと気軽に読める本を間に挟みたいな~

2005.05.03

■ホワイト・ジャズ [小説 JE編]

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ジェイムズ・エルロイ/著『ホワイト・ジャズ』(1999)文春文庫

ボクシング疑惑、家宅侵入、球場建設、毛皮盗難、三流ホラー映画、司法長官選挙、賭博地区制、モテルののぞき屋、エスコート・クラブ、酒場のショットガン乱射…すべてが絡み合い、50年代<暗黒LA>が終息をむかえる。

終わった。
疑問は残るが満足。
疑問は何度も読み返せば、答えが分かるかもしれないけれど、読み返す気は無い。

更に読みにくかった『ホワイト・ジャズ』。フォントが違うのはいいとして、短い文章/単語の羅列は意味の分かるウィリアム・バロウズと言った感じだし、文字が大きくなると読むペースが乱され、疲れた。ただし、最後の年表はとても良かった。
悪徳ぶりが嫌になって中断もしばしば。いや、私が同じ姿勢で長時間読んでいたせいで頭が痛くなっただけかもしれない。
悪徳警官デイヴが嫌だった訳じゃない、彼ははめられて抜け出せなくなっただけ。後半のアイツの悪徳ぶりが不快だった。

印象的だったのは
「あんたが鏡をのぞけば~」(P509)
「~それを無視した」(P515)
「~の現状がそれを正当化すると信じるからだ」(P629)
「おれは帰るつもりだ。~」(P638)後日談を知りたい!

文章は読みにくくても、とても満足のゆく終わらせ方だった。
<暗黒LA4部作>で一番好きなのは『ビッグ・ノーウェア』だけど、『ホワイト・ジャズ』も捨て難い。『LAコンフィデンシャル』は例え映画の面白味が半減したとして、原作を先に読むべきだった。『ブラック・ダリア』は別物。
ネタバレ

この文章を書きながら、聴いていたのはAttica Blues『Test, Don't Test』スリリングなアルバム。

2005.04.19

■LAコンフィデンシャル [小説 JE編]

L.A.Confidential by James Ellroy L.A.Confidential by James Ellroy
ジェイムズ・エルロイ/著『LAコンフィデンシャル』上下巻(1997)
文春文庫

ビッグ・ノーウェア』からひき続き、バズのその後。
1951年クリスマスの夜、警察内で警官による容疑者への暴行事件が発生した。エドが証言した事により、バズは彼に恨みを抱き、ジャックは風紀課へまわされる。そこへ「ナイト・アウル」事件が発生し、3人それぞれの捜査が始まる。

犯人を映画で知っていたから、ダラダラ上巻を読んでいたけれど、下巻は一気に一晩で読了。
しばらく憂鬱な夢から覚めないような気分だった(何せ徹夜)。

映画ではアッという間に解決したけれど、5年越しの事件だったのね。骨組みの部分は同じだけど、やはり原作は奥深く迷宮に入り込んじゃったかなって感じ。思い込みに左右されてしまったので、今度からは映画より原作を優先させたい。
映画も素晴らしかったけれど、原作とイメージがかなり違うのがバズとダドリー。それから原作には「ロロ・トマシ」が無かった。ここがとても印象深いシーンだったので、脚本が良いと言う事ね。
原作では、野心家/コンプレックスのエド、腕力男/トラウマのバズ、見栄っ張り/罪悪感のジャック、それぞれ3本の紐がより合わさってと言いたいところだけど、あっちからもこっちからも紐がからまって来て、ねじれ、ちぎれて…

一番印象的なのは“ふたりとも手が痛くなるまで握りしめていた”(下巻P378)。
ジ~ンとして「友情」「正義」という言葉が浮かんできた。まるで少年ジャンプの3大テーマ「努力・友情・勝利」のようだ。日本的に言うと「義理と人情」だろうか、いつの世も愛されるテーマだな。

さて『ホワイト・ジャズ』読むか。
ネタバレ

2005.04.02

■ビッグ・ノーウェア [小説 JE編]

The Big Nowhere/James Ellroy The Big Nowhere/James Ellroy
ジェイムズ・エルロイ/著『ビッグ・ノーウェア』上下巻(1998)文春文庫

1950年1月1日、アカ狩りの嵐が吹き荒れるアメリカ、ロスアンジェルスで男の死体が発見された。若き刑事ダニー・アップショーが捜査を始めるが、市警との縄張り争いの為に行き詰る。そこへコミュニスト捜査への参加を求められ、加わる条件として殺人事件の捜査を継続してゆく。

やっぱりエルロイはおもしろいなぁ~
彼の小説を読んでいると細かいピースのジグソーパズルが頭に浮かぶ。
最初の何気ない一文が最後に重要な意味を持っていたりする。バラバラなピースをはめて行って事件が解明するような印象。
今回は暗い影を引きずるダニー・アップショーマル・コンシディーン、元悪徳警官バズ・ミークスそれぞれ3つのジグソーパズルを相互にはめなおして、最後には1つに完成したような印象だった。

悪夢のような内容だけれど、時々フフッと笑える。それはギャグではなくてリヴェンジ。
ただ読後はドヨ~ンと気分が淀んじゃう、事件は解決するのだが爽快な気分にはなれない。
警察小説だというのに、誰もが悪徳、そしてクリーンな人間は泥沼を這いずり回る。いやいや、ジャック・ショーテルは別だな。でも、またシリーズ中に再登場すると雰囲気が変わっているのかもしれない。

先日、晴薫さんから“時間と労力と要する”とのコメントをいただいた。
彼の小説は人名がたくさん出てくる(『ブラックダリア』にダニーの名前が2度出て来たような記憶が)。それもファーストネーム、ラストネーム、ニックネームだったりで、この人誰だっけ? と前のページを読み返す事しばしば。
地名もしかりで、最初はなかなか読み進められない、こんなところが読みづらいところかな。でも、だいたい中盤あたりになると、気分が削がれるから元に戻る事をやめてしまい、後は一気。
と言いたいところだけど、今回は下巻・第二部の最後で「嘘でしょう!!」と何度も読み返した。辛かった…

しかし、こんなところもエルロイの魅力。先を予想だにできない息詰まるような展開、苦しいけれど読まずにはいられない。次は有名な『LAコンフィデンシャル』よ。
ネタバレ

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