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    *Hello Nico Another World

2006.11.10

■小笠原 慧 [小説 小笠原編]

岡田 尊司小笠原 慧(おがさわら けい)
本名:岡田 尊司(おかだ たかし)
1960年香川県生まれ、京都医療少年院の精神科医。
 
 
 
小笠原 慧名義
DZ(ディーズィー)』(2000)
 横溝正史ミステリ大賞、受賞時は小笠原あむ名義、タイトルは『ホモ・スーペレンス』。
手のひらの蝶』(2002)
サバイバー・ミッション』(2004)

岡田 尊司名義
悲しみの子どもたち』(2005)
 他、著書多数

ブックカバー目当てで買った『DZ』がワリと面白かったので、小説を読みつくし、本業のノンフィクションも読んでみた。興味はあるけど夢中にはなれないので、1冊読んでまとめとした。
それよりも1999年、横溝正史ミステリ大賞奨励賞となった『ヴィクティム』が読みたい。

2006.11.08

■悲しみの子どもたち [ノンフィクション 小笠原編]

悲しみの子どもたち
岡田 尊司/著『悲しみの子どもたち―罪と病を背負って』(2005)
 集英社新書

事件を起こして手錠につながれ、護送用のバスから医療少年院に降り立つ子どもたち―彼らは罪だけではなく疾患という重荷も背負っている…ノンフィクション

小笠原 慧名義の小説が面白かったので、本業である精神科医としての著書を読んでみた。

映画『オーメン』のように生まれた時から悪の子なんていない、この中で紹介されているのは生まれ育って来た環境に問題がある子どもたちである。
傍目から見ても普通の家の子のように見えてはいても、他人にはその内情までは分かりはしない。
徐々に子どもの心を蝕む大人たち、幼い頃はそれが当たり前に感じていたかもしれないが、社会である小学校に入学してから他の家の子とは違うと感じ、悩み傷ついていたのではないだろうか。
それを汲み取れなかった大人の、社会の責任もあるのではないだろうか。

近年、未成年による凶悪事件が世間を騒がせているが、ほとんどの人が他人事のように思っているだろう。
でも、岡田氏は語る「子どもが健全に、強く育たなければ、その社会の未来は一層暗いものとなる」と。

具体例もあげ、かなり読みやすい。しかし小説とは違って先を知りたくて仕方が無いというわけではないので、読了までかなり日数がかかってしまった。
子どもに関わる仕事の人だけではなく、重大事件がどうして起こったのか疑問を持った人や、子育て中の人が読んでもいいのではないかと思う。
結局はごく普通に育てれば良いだけらしいんだけどね。しかし、理想と現実とは違うもので、どうにもならず悩む時もあるだろう。それでもそれが子どもの個性だと思い、問題を起こさずにすくすく育てばそれで良いのかもしれない。

2006.09.04

■手のひらの蝶 [小説 小笠原編]

手のひらの蝶
小笠原 慧/著『手のひらの蝶』(2002)角川文庫

古都・京都で女性が失血死する殺人事件が発生。異様な事に、流されたはずの血が現場には残されていなかった。刑事・薮原と西澤は容疑者を追い詰め、格闘の末射殺したはずだった。
2年後、またしても同じような事件が連続して発生。被害者である母親と共にいた9歳の少年・真下裕人が保護され、児童精神科医・小村伊緒は懸命に世話をする…サイエンス・ミステリー

あの伝説を現代的にして難解な言葉で解説、何となく納得させてくれた説得力のある小説である。相も変わらず調べたよ、シロモンオオサシガメ

可哀そうな人々や憎まれ役も配し、それぞれに手がかりを持ちながらもすれ違い、話は二転三転。彼はどうなの? 彼女はどうなる? 犯人は誰なの? 彼らは一体どうなってしまったの~ とハラハラドキドキ、たっぷり感情移入の500ページ。
そして最後に余韻を残す、言えなかった言葉とは…
切ない悲劇の物語。

精神科医である“岡田 尊司=小笠原 慧”は日本版“ジョナサン・ケラーマン”ではないかと思う。
傷ついた子供の心を救う、こういう小説家を待っていたのよ。
彼の小説の中でこの本が一番好きである。
ネタバレ

2006.08.29

■サバイバー・ミッション [小説 小笠原編]

Survivor Mission
小笠原 慧/著『サバイバー・ミッション』(2004)文藝春秋

近未来、首都震災をきっかけに日本は財政破綻し、都心は荒廃の一途を辿っている。
犯罪捜査の実践経験が無い“麻生利津”は特別任務を与えられ、3Dホログラムの人工知能“ドクター・キシモト”と共に連続殺人犯“首狩り殺人鬼(ヘッドハンター)”を追う…SFサスペンス

ずっと漂う哀しげな雰囲気、利津の孤独を救うのは“ドクター・キシモト”の存在。でも、このキシモトは「思い出せない」「わからない」ばかりで役に立たない。
次々と死体が発見され、たくさんの証言者が登場するが、各人の描写が足りなくて個々の印象が薄く「つながった」と言われても、誰だっけ? と前に戻って読み返す始末。
ほとんど霧の中をさ迷っているかのような感じで、やっと残り40ページという所で事態が展開し始めた。

勝手な私の想像だが、綿密な下調べに基づいたミステリーというよりも、机上で空想をめぐらせたSF風味地道な刑事ドラマと言った感。私にとって読むのが億劫だったサイコホラーという位置付けで残念、あまり過激なのが好きではサスペンス好きには読みやすいかもしれない。

精神科医である著者の小説には色々な言葉が出て来て、つい調べたくなってしまう。
ソンディ・テスト”どれもこれも気味の悪い人ばかりで押したくないけど、好奇心に負けた。
カインタイプの悪だそうだ、トホホ~

“記憶トレーシング”で思い出したのは、映画『ブレインストーム』こちらは生きていたけどね。

2006.07.21

■DZ(ディーズィー) [小説 小笠原編]

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小笠原 慧/著『DZ』(2000年)角川文庫

アメリカで凶弾に倒れた恋人を思い続ける医師・志度涼子は、重度心身障害児施設「近江愛育園」の狭い牢獄のような保護室から3年間も出られずにいた西村沙耶に出会う。
華奢で弱々しげな少女は衝動行為が激しく、涼子のボールペンを奪い大柄な看護士に襲いかかる。
自閉症の弟を持つ涼子は、誰もがさじを投げた一言もしゃべらない少女がきっと良くなると信じ、懸命に介助する。そこへ…医学SFミステリー。

あらすじを考えるに苦労した。
本当のあらすじを知りたい方は本の裏表紙を読むといい、私もそれに惹かれて買ったのだから(さんざん悩んだが)。
本当はこんな途中の出来事を書くのは反則なのかもしれないのだが、前半はベトナム、アメリカ、日本をまたがり、登場人物もバラバラでどういう話なのかつかみきれず、読むのに少々苦労した。
医学的な専門用語が頻出し、理解できずにスルーする事もしばしば。
いつも翻訳本ばかり読んでいるもんだから、日本の作家は小難しい漢字を使う事を忘れてた。理解は出来るのだが読み方が分からないまま。

面白くなってきたのが上記あらすじ部分から、ここからは一気に夜中まで。
頭に浮かぶのは「宿命」、そして「ターミネーター」(何故に?)
断片的な事柄が一つに結び付き、悲しき運命を背負う者達の話。

こんな偶然がある訳が無いと思うし、日本を舞台にされるとリアリティが感じられない。だってこんな事があったら、ワイドショーをしばらく独占してしまうような大事件である。
単調な毎日を過ごす私にとって、小説とは別世界へと連れて行ってくれる手段の一つ。
だからこそ、多少飛躍していても気にならない海外の小説ばかり読んでしまうのだが、日本のミステリーも素晴らしいと改めて思い出させられた。
丹念に書かれていて、納得できるような説明もなされ、読み応えがある。この小説にずっと漂う「悲哀感」、共感できるのも日本人ならではかもしれない。

実は角川文庫を2冊買うと必ずブックカバーがもらえるからこの本を買ってみたのだが、しばらくこの小説家に夢中になりそうだ。
小笠原 慧(けい)=精神科医・岡田 尊司(たかし)である。

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