2009.12.08

■グラウンド・ゼロ [小説]

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保科 昌彦/著『グラウンド・ゼロ』(2008)角川書店

新聞記者の岡谷は取材の帰りに倒れている男を発見、沼津総合病院まで付き添った。
社に報告を入れると、その男は精神科から男の子を連れ去った誘拐犯の疑いがあり、もう一人の共犯者・伊崎は和哉少年を連れて病室に立てこもってしまった。
病院は閉鎖され、警察が取り囲む。厳重警戒の中、取り残された人々を死が襲う…サスペンス/スリラー

帯の「読みはじめらたら止まらない!」という宣伝文句に惹かれて手に取ると、読みやすい文章でつい購入。
「ホラー小説家によるノンストップ・スリラー」との事、久々に眠れない恐怖の夜を過ごせるのかとワクワク。

う~む、読みやすいけど何も始まらないぞ!?
オープニングは男の独白で、何やら計画があるようなのだが、読み進めるうちにすっかりこの3ページ分の内容を忘れてしまった。
後半になってから「あぁ、あれは伏線だったのか」と思い出す始末。
本章に入ってからも色々な人が登場するが、特に何も起こらない。やっと事件が起こるが、むしろ事故。

伊崎は少年を助けるために連れ出したのだと言う、そしてストックホルム症候群かのような少年の態度。連れ戻しに来た病院の関係者達、強引な警察、誰が嘘をついているのだろう…

すぐ分かります(´д`)

倒れていた男は何を警告したかったのか?
一言も口をきかなかった老人が突然語り始めた事とは?
一番不自然な人間がいるじゃん、騙されちゃダメ!

でも、目的を果たす為にわざわざ出て来なくても良かったような気がする…これはホラーでは無くSF。幽霊と超能力は夢オチと同じくらい都合が良過ぎ、そんな万能アイテムを使われると期待を裏切られた感が…
いや、私が勝手にホラーと思い込んで買ったのが間違い。もともとSFだと知って読めば、読者も納得の読みやすさ。
作家自身が書いたのでは無く、本を売るために出版社が作った帯に惑わされちゃいけないねー

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2009.09.30

■地図男 [小説]

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真藤 順丈/著『地図男』(2008)メディアファクトリー

映画に最適なロケーションを探す助監督の<俺>は、地図帖を携えた<地図男>に出会う。
的確な助言を与えてくれる彼が持つ地図帖には、膨大な量の物語が詰め込まれていた…ドラマ/ファンタジー

第3回ダ・ヴィンチ文学賞大賞”受賞作、サイン本だったので何となく購入。
始めの章題からして「?」状態で入り込めず、やっと一人称<俺>が登場してからの説明で何となく雰囲気をつかめた。
しかし、次の「区をめぐる物語」は頭の中でイメージを構築しかねた。
本気で読めるようになったのは「ムサシとアキルの恋物語」から。主人公の<俺>と同じに先が気になって仕方が無く、これは良かった。
アウトサイダー達が理解者を得、互いに支えあう。そこへ失職したサラリーマンが登場、二人に永遠の平穏が訪れるのかと思いきや…

オチに関しては私には予備知識が無い為共感できず、サラッと終わった印象しか持てなかった。
第15回日本ホラー小説大賞”を受賞した作家との事でちょっと期待していたのだが、ライトノベルのような印象で肩透かし気味。短編をつなぎ合わせたような散文よりは、ムサシとアキルの奇妙な恋物語をもっと肉付けした中編を読んでみたいな。

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2009.09.29

■コミック幽 [漫画]

gohstly manga anthology comic yoo サイン ←サイン
怪談マンガアンソロジーコミック幽(ゆう)』
(2007)メディアファクトリー

サイン本だという事でつい購入。
どこに書いてあるのかなぁ~と思っていたら、そうだよねー、当たり前の事だよねー
怪談ノ宴』の出演者・伊藤三巳華のページだった。他の作家をちょっぴり期待していた浅はかな私…

11人の漫画家による怪談話のアンソロジー、奇妙な内容が中心で恨みつらみのオンドロや残酷な描写は少なく落ち着いた印象の短編ばかり。魔夜峰央は今もホラーも描いているんだなぁ。
怖いと思えたのは諸星大二郎「猫ドア」、うちにもあるから、あんなのが入って来たら困る。
意外と面白かったのは高橋葉介「紅い蝶」、絵が好みでは無かったので今までまともに読んではいなかったが、エロスとミステリアスが怪奇幻想っぽく、納得の行くストーリーに好感。

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2009.09.26

■昭和少年SF大図鑑 展 [美術展]


昭和少年SF大図鑑 展 ― S20~40'ぼくたちの未来予想図 ―
 2009年7月3日(金)~9月27日(日) 午前10時~午後5時
 弥生美術館

昭和20~40年代(戦後、1945年~1975年頃)の「未来予想図」を中心に、壁には原画が下部には当時の雑誌を展示。
ほとんどが『昭和少年SF大図鑑』(河出書房新社)に掲載されている物なので、特に実物を見たい方にオススメの展覧会と言えよう。
楳図かずおが描いた「ウルトラマン」が掲載されたS42年『少年マガジン』もあった。

誰でも子供の頃は、空飛ぶ車とか月への移住とか空想したものではないだろうか、しかし今となっては絵空事。
S33年『少女』の特集記事「もうすぐです!宇宙旅行ができます」で苦笑、今では1969年のアポロ11号による月面着陸でさえ真偽を疑われる始末である。
それでも誰もが夢みた携帯電話が普及し、想像さえしていなかった電子レンジやインターネットが出現した現代。
そんな人々が子供時代に夢中になって読んだであろう、少年少女雑誌に描かれた、未だ到達していない世界特集。

プロペラ列車
1931年、ドイツ・メルクリン社のOゲージ模型が展示されていた。
当時の新聞記事によると“レール・ツェッペリン”と呼ばれるアルミ製のプロペラ列車は高速走行を期待されていた。しかし、試運転だけで終わってしまったそうだ。

未来探検座談会
S43年『少年マガジン』のコラムで星新一や小松左京などのSF作家がいい加減な話をしていた。

世界大終末
S43年『少年マガジン』の特集ページはまるで映画『アイ・アム・レジェンド』。

未来贅沢生活
M43年『冒険世界』に掲載された“世界未来記”はまさに現代を予想していたと言えよう、それは風呂に入りながら映像を観る事であった。

平日に行ったので、団塊世代のカップルが「懐かしい」と連呼していて、世代が微妙に違う私にとってレトロなイラストは好きだが、あまり共感できずにいた。
しかし、S44~45年ジュニア版世界のSFシリーズ、ハインライン/著『タイタンの妖怪』(集英社)を目にした途端、ドキ胸。忘れもしない自分のお金で初めて買ったハードカバー本、これが私のSFの原点。

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2009.08.25

■覚書4 [小説]

時計とカップ「幽」編集部/編『怪談実話系2』MF文庫
横溝 正史/著『夜光虫』徳間文庫
宮部 みゆき/著『鳩笛草』光文社文庫
小林 泰三/著『肉食屋敷』角川書店

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2009.06.17

■そのケータイはXXで [小説]

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上甲宣之/著『そのケータイはXX(エクスクロス)で』(2004)
宝島社文庫

恋人の朝宮と別れたばかりの女子大生・水野しよりは、友人の火請愛子に誘われて山奥の阿鹿里村へ温泉旅行にやって来た。 旅館の押入れで見つけた携帯電話に出てみると、ハスキーな男性の声で警告された「逃げるんだ、脚を斬りおとされるぞ!」…サスペンス/ホラー

書店で単行本を見かけてから気になっていた『そのケータイはXXで」を読み終わった。だいたいタイトルからして惹かれる物があり、やっと納得できる説明があってスッキリした。
映画『エクスクロス 魔境伝説』の方を先に観てしまい、結構面白かったから原作はどうかな?と思っていたが、やはり世間の評判通りだった「面白いんだけど…」。

解説にも書いてある通り、「全編にわたりやけくそのようにアイデアを詰め込んでいる」そして「滅茶苦茶さ加減がなんともたまらない」、同感である。
ただし、「ページを読み出すと止まらなくなる」、ここは共感できない。だって、それほど夢中にはなれず、何日もかかって読み終わったから。
でも『地獄のババぬき』はこれから読む。

映画でもそうだったのだが、愛子の死闘とも言えるアクション部分が良い…あり得ないけど。
あの手この手で作戦を練る愛子をつい応援してしまう…無理がある武器だけど。

映画と原作とは結構話が違っていて、映画の方は阿鹿里村の風習に焦点を当てて、目的を明確にしていたのが良かった。原作の方はちょっとハッキリしないから主人公の思い込みかとモヤモヤした気持ちが残っている。
さて、愛子を閉じ込めたのは誰でしょう?
映画で良かったのはしつこい程のアクションシーン。小説も奮闘しているが、何しろ私には免許が無いので、車の方はイメージしにくかった。
そして、原作で意外だったのはボートのシーン…そんなのアリ?

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2009.05.29

■きょうの猫村さん [コミック]

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ほしよりこ/著『きょうの猫村さん1』(2005)マガジンハウス
『きょうの猫村さん2』<湯けむりバージョン>(2006) 
『きょうの猫村さん3』(2008)

村田家政婦紹介所でお世話になりながら、犬山家で一生懸命奉公する“猫村ねこ”。全ては外国に行ってしまったぼっちゃんに会うため…ドラマ

時間つぶしのために何気に立ち読みしていたら、ハマってしまった『きょうの猫村さん』。
以前から知ってはいたが、こんなに面白いとは思わなかった。もちろん、ゲラゲラ笑うようなタイプのギャグ漫画では無く、家政婦として働く猫の日常を描いた脱力系ホームドラマ。
家政婦は見たの擬人化バージョンと言うか、猫じゃなかったら単なるオバさんじゃん! というノリの人情味漂う猫と奉公先の家族を中心とした周囲の人々のちょっと風変わりな物語。

つい本を買ってしまったが、ネットで読めるとあとで知った…
でも、いいのだ。レアアイテム(かもしれない)<湯けむりバージョン>を安く手に入れる事ができてラッキ~
味のあるイラストと文字に癒されてほのぼの、特に爪とぎやら毛づくろいやら素に戻ってる時が好き。

箱表 箱内側 箱裏

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2009.02.22

■黒い森 [小説]

Darkness by Orihara Ichi ←前後どちらからも読める
折原 一/著『黒い森』(2007)祥伝社

親に交際を禁じられた恋人達・留美男と樹里、お互い「ミステリー・ツアーの目的地で待ち合わせる」メールを受信する。
その地とは樹海の奥にひっそりと佇む血塗られた過去を持つ山荘であった。
鬱蒼とした森の中の道なき道を添乗員の先導のもとツアー参加者達は進んで行くが、一人また一人と脱落してゆく…ホラー/ミステリー

書店の新刊コーナーで見かけてからずっと気になっていた『黒い森』をやっと手に入れた。
この本の装丁は凝っていて、前(生存者編)からも後(殺人者編)からも読めて、真ん中に袋とじのページ(解決編)がある。言うなれば“大人向けしかけ本”?!
“袋とじ”ってかなり気になる存在(笑)で、特にミステリーにおいては、よほどの自信がなければこんな手間のかかる事はしないと思い、“夢中度”が期待できる。

かなり読みやすい文章と体裁である。
それに区切りが目で見える形でハッキリしているので、目標を持ちやすく「あとここまで読んだらやめよう」「あともうちょっとだ」と読むスピードやペース配分ができる。

無事山荘へたどり着けるか、何を持っているのか、誰が犯人か…自分勝手に想像してハラハラドキドキ、最後に一ひねり。アッ、そうか…
最初から信用できない添乗員や、唐突に死ぬ登場人物、言葉が足りない不審者、想像力が逞し過ぎて「お前は霊能力者か」とツッコミたくなる主人公、どいつもこいつも怪しくてリアリティが感じられず感情移入しづらかったが、面白い事には間違い無い。
グロはさほど無く基本的に恋愛物なので、サスペンス好きなら結構楽しめるかも。

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2009.02.14

■よんでますよ、アザゼルさん。[漫画]

よんでますよ、アザゼルさん。(1) よんでますよ、アザゼルさん。(2)
久保保久/画『よんでますよ、アザゼルさん。』(2008)イブニングKC

探偵事務所で事務のバイトをする女子大生・佐隈りん子。上司・芥辺は悪魔を召喚・使役する“悪魔探偵”だった。
彼にまんまとだまされて、<淫奔>の能力を持つ悪魔・アザゼルと契約させられてしまう。魔導書“グリモア”の勉強をしつつ、三頭身のキャワユ~イ悪魔達と共に、金に目がくらんで仕事の依頼を受け、酒に酔いつぶれながらも何とか事件を解決する…コメディ

隔週発売の青年雑誌『イブニング』(講談社)でたまに掲載されているらしい(?)ギャグ漫画『よんでますよ、アザゼルさん。』、著者名もギャグのような“久保保久(くぼやすひさ)”、もしも本名だったら名付け親の度胸に座布団一枚。
本屋に行っても漫画雑誌コーナーに縁が無いので、上記雑誌の存在さえ知らなかった。

まんだらけでブラブラしていたら帯に目が留まり「いくらプリチーに見えても我々は悪魔!」のコピー、可愛い物好きでホラーとお笑いをこよなく愛する私は、表紙に激しく惹かれて衝動買い(ビニールがかけられてるんで)。
中身も知らずに購入したけど、大正解♡
下品で残酷、下ネタ満載のドタバタギャグコメディー、しょっぱなから『サ○エさん』のパロディーをかましてくれる。いいね~ このテは大好きよ(笑)久々に私的ヒットの漫画だ。
本の持ち主が呪文を発動し、魔界の王となる子供達を闘わせる『金色のガッシュ!!』っぽいけど、全然別物。ガッシュは絵が可愛いけど、基本的にジャンプ的な格闘技系ファンタジー、延々と闘ってばかりで私は飽きちゃう。

最初、アザゼルは山羊かと思ってたけど、犬なのね~ 腹毛が魅力。マージャン牌を敬語で言わせるアフォ~さ。
ペンギンみたいなベルゼブブの能力は<暴露>、強制排便を促す力を持っている。実は鳥に見えるが本質はハエ、電子レンジで犬の○○を温めようとする悪趣味さ。
カワユイ二人(二匹?)を引き連れて事件に立ち向かう、さくまさんの成長物語というより、大騒動だね。
第3巻が待ちきれない、次号の『イブニング』を買おうかな…

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2009.02.12

■東京ゾンビ [漫画]

Tokyo Zombie Tokyo of the Dead
花くまゆうさく/著『東京ゾンビ』(1999)青林工藝舎

江戸川区にゴミでできた山がある、通称“黒富士”。ここ数年はゴミだけではなく死体埋め場のメッカともなっていた。ある日、黒富士からゾンビが出現し、柔術修練に励んでいたミツオとフジオはトラックで逃げる途中、離れ離れとなってしまう。
それから5年、金持ちの娯楽として“ゾンビファイト”が行われ、フジオはゾンビに勝ち続けていた…ホラー/コメディ/アクション

映画『東京ゾンビ』の原作、ヘタウマ漫画家・花くまゆうさくのゆるいギャグ漫画、そのノリはシュールでもある。
格闘系の漫画であるにもかかわらず、動きが感じられない画風。何故、漫画家を目指したのか理解できない絵柄である。
しかし、読んでいくうちに棒人間にも何となく慣れて来て、残酷な描写も雑な絵のおかげでグロさがやわらいで読みやすい。

映画はほぼ原作に沿った内容ではあるが、オリジナルな脚色がなされ、キャスティングも含めて、監督のセンスの良さが改めて認識できた。
しかし、原作ありきの映画化なので、原作もバカバカしい内容ながらも、飽きさせずある意味ブラックな笑いに好感が持てる。もしかしたら、ギャグでは無く、真剣に格闘技漫画を描いたつもりだったりして…
映画では若い女性をコンビニで拾って来たが、原作では犬。また映画『アイ・アム・レジェンド』を思い出してしまい、孤独な男と犬の友情物語は良いね。

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