■金色機械 [小説]
恒川光太郎/著『金色機械』(2013)文藝春秋
時は江戸時代。
親に捨てられ山を彷徨う熊悟朗は、偶然出会った山賊の一味に拾われる。
その時、居合わせた親に売られた少女紅葉と共に山の中の竜宮城にたどり着く。そこで出会ったのは金色に輝く月から来た神様”金色様”。
熊悟郎は門番として仕事に励み、日々鍛錬し技を磨いてゆく。やがて、一緒に育った利発な紅葉と夜を共にする…ファンタジー
待ちに待った恒川光太郎の長編。
単行本を見て、その分厚さに少々焦った…読む時間があるかな?
しかし本を開いて、それは杞憂と知る。文字は大きく、紙は厚い。何より読みやすく面白い、一晩で読み終わった。
今回は目次に年代が記載されていたので、次は誰を語るのか予測はできるが、やはり先が読めない展開でワクワク。頭脳内冒険が始まった。
時代小説はほとんど読まないがこの本はSF、超能力者や宇宙人が出てくる。
特に金色様はロボットなのであろう、想像するにスターウォーズの背の高いやつ”C-3PO”。これがなかなか良い味を出していて、前半と後半のイメージが違っている。そして、『ロード・オブ・ザ・リング』とか『ターミネーター』といったタイトルが頭に浮かんで来る。『E.T.』もかな…かぐや姫ではないのよ。
色々な登場人物が出てくるが、結局は熊悟朗と紅葉の物語だと思う。
そのまま添い遂げれば、ありきたりの話で終わるが、そうならないところがこの小説家を好きなところ。
この本は『雷の季節の終わりに』のように緊張感で手に汗握る内容では無いが、紅葉が語る「心に雲みたいに浮かんだことを、ふわりふわりとね。」そんな感じ。
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