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    *Hello Nico Another World

2013.09.14

■暗くて静かな娘 [小説]

暗くて静かな娘

平山夢明/著『暗くて静かでロックな娘(チャンネー)』(2012)集英社

“実録怪談”とか、“怪談実話”とか胡散臭い雰囲気を漂わせた、理不尽なでまがまがしい短編を書くホラー作家、平山夢明。
しかし、『或るろくでなしの死』以来(掲載雑誌は読んでいないので、書かれた年代は前後するのかもしれない)、哀愁を帯びた中年男の後姿を連想させるような短編集を出すようになった。
これがまた、読者が共感するような人情味が漂うのだ。そして、昭和エレジー。

日本人じゃねえなら
俺とテツオとチハルのヘブン。それを壊すのは…
結局「日本人」にこだわる理由が書かれていないので、消化不良気味だが、そういう奇妙なフレーズの反復が他の小説家と一線を画す。
肌にちくちく触る小さな棘のようで、気になって仕方が無い、違和感のような独特の作風が好きなのかもしれない。
例えば、ホラー映画を見ていると、主人公の後ろをスッと通り過ぎる影とか、バックで流れる密かなノイズとかね。そういう居心地の悪さを平山夢明の小説で感じる。

サブとタミエ
若い恋人達、突然タミエが心変わりを宣言する…
「所詮は金のあるなししかこの世に差はないんだ」、子供の頃、ドリフが好きだった。特に「ちょっとだけよ~」と笑わせてくれた人は今幸せなんだろうか、とネットニュースを読みながら考える。
話がそれたが、ワイルドカードを手放したじじぃはどうなったんだろう、結局嘘つきになってしまったと思うんだけど(゚ー゚;
“潮吹き”はわからなくても“ワイルドカード”を理解する女タミエ、昭和の東映とか日活とかに出てきそうな、したたかな女を感じさせる。

兄弟船
演歌のようなタイトルだが、親の自慢のアニキがおかしくなって帰って来たお話。
長男好きの母親はたくさんいるが、何を意味するんだろう? てっきりご主人の身代わりかと思っていたが、最初に生まれて一生懸命育てたからベタベタするのかな? 長男に恋する状態が理解しかねる。
「もう自分の不幸を人の責任にするな!」でハッとする。

悪口漫才
映画『マシニスト』です。
不謹慎ですが、これで良かったと思います。

ドブロク焼場
火葬場のお話、主人公は相棒とお笑い芸人をやっている。ある日、幼い少女の遺体が運び込まれる…
まぁありえない話でしょう、“ちくわぶ”は著者の好物です。

反吐が出るよなお前だけれど
「ラーメン二郎」にクヒオ大佐がやって来た話です。

人形の家
自殺癖を持つ女性とクズ男のラブ・ストーリー…
継続して購入している『自殺島』、前向きでイキイキとしたサバイバル漫画である。この短編も前向きなラストだった。
嫌な事から逃げたいと誰しも思うが、それの極端な方法、最終手段が自殺なのかな。知り合いも何度か自殺未遂していた。
身近にクズ男と暮らしている人がいるが、どうして追い出せないんだろう? さみしがり屋かな、でもむさくるしい男同士でのワンルーム暮らしって┐(´д`)┌

チョ松と散歩
この短編集の中で一番心温まる良いお話、オチがあるのもいい。つまり平山夢明っぽくない、ファンタジーの世界。

おばけの子
NKHで「消えた子ども 1191人はどこに?」という番組があったようですね。切なく無力感にとらわれる話、『隣の家の少女』はいまだに怖くて読めません(´-д-`)

暗くて静かでロックな娘(チャンネー)」
障害者の娘と共に手斧ショーを披露する父親。その生活から抜け出す為、危険な賭けに出る…
やはり男の哀愁漂うお話だった。

小説も好きだが、トークも好きな平山夢明ヽ(´▽`)/
最近、“ネイキッドロフト”や“新世界”等のイベントが無くて、何か新作の長編でも書いて作っているのかちょっと期待していたが(サルベージとか!!!)、「宍戸レイの出版記念」や「怪談新耳袋 殴り込み!劇場版<北海道編>」に出ていたりしたのね、知らなかった…誰か、イベント告知して( ゚д゚)ホスィ…

2012.07.03

■平山夢明×BBゴローのFKB怪奇ドラッグ [トークライブ]

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平山夢明×BBゴローのFKB怪奇ドラッグ
2012年6月26日(火) 19:30~ 新宿ネイキッドロフト
出演:平山夢明 BBゴロー ゲスト:田渕純 チャンス大城

2008年1月8日『不思議SNSララーボナイト』、2009年9月12日『怪談ノ宴』で拝見して以来、ホラーとは関係無い爆笑トークに魅了されてしまい、小説家・平山夢明のトークイベントへちょこちょこ行っている。
町山智浩がメインの場合は、すぐチケットが売り切れてしまうので観る機会が少ないが、芸人・BBゴローとのイベントは急げば何とか手に入るので、今回もがんばった。

怪奇ドラッグ』という本は知っていたが、もともとは二人で放送していたネットラジオが元なのだそうだ。
やはり放送でも幽霊話から脱線してばかりしていたらしいが、今回のトークライブの様子が竹書房から出版されるとの事…バカ話がメインの内容なのだろうか┐(´-`)┌
そして、今回はUSTREAMで生中継された(2011年12月28日『【LiveWire76】 平山夢明『或るろくでなしの死』刊行記念トーク』も同様)。

登場した二人。
2012年3月13日『平山夢明プレゼンツはろはろゴローと夢ちゃんのヘルトーク』の時は平山夢明がデップリとした感じがしたけれど、今回は結構スッキリ。案の定、BBゴローが「先生、顔がやつれた」と指摘。
何やら麺を食べて寝てを繰り返していたら、具合が悪くなってしまい、食べられなくなってしまったとの事。決して出版社に叱られたからでは無いそうだ。
そこから絞められた話や死体の話からシモの話へと移って行った。
やはり、出版を予定しているので怪談話へBBゴローが軌道修正するのだが、どうしてもおもしろエピソードへと流れてしまって、笑いがずっと止まらない。

Image2333第1部のゲストは芸人・チャンス大城、日本の魔境・兵庫県尼崎出身である。
緑のお化け・ピーターの話や芸を披露するが、ウケるのは彼の過去。
精神的に不安定だった時期、歩いて歩いてたどり着いた荒川で草花をむしって暴れていたら、注意したのは故・地井武男。半年風呂に入らない兄、三ヶ月間便秘後、暴れ犬の話等、客の期待を裏切らない驚愕エピソードを披露してくれた。

Image2334第2部のゲストはムード歌謡歌手・田渕純、あまりの美しさに声を出すまで女性だと思っていた。
彼は金縛りの話をしたが、印象に残っているのが27,000円のアパート。猫かと思う程の大きなねずみが出没するそうだ。
元々は”和田弘とマヒナスターズ”のメンバーで、昭和の美声を聴かせてくれた。客が笑わなかったのはこの時ぐらいである。
その後、ものまねとのり弁に入っている「愛しのメルルーサ」と「ゆけ!人造バラン」というコミックソングを聴かせてくれた。

果たして、竹書房から本が出るんでしょうかね?
それから、平山夢明のイベントタイトルがちょこちょこ変わってシリーズが続かないのが気になる。そして、『Sinker―沈むもの』『Salvage』はいつ出るんでしょうねヽ(○´3`)ノ

2012.06.05

■非道徳教養講座 [実用書]

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平山夢明/著 児嶋都/絵『非道徳教養講座』(2011) 光文社

ホラー小説家・平山夢明が書いた一般的な若い婦女子に向けた人生指南書。結構、まともな内容でファンとしては戸惑い、正直眠くなってしまった。

児嶋都が描く挿絵には“鬼畜”と書いてあるが、そんな事を感じさせないエッセイで、平山氏を知らない読者は絵と文章のギャップに違和感を持ったのではないだろうか。
だいたい、光文社のPR誌『本が好き!』自体を知らず調べたら、なんちゅうーメルフェン(=´Д`=)ゞ 
絶対私が手を出さないだろうな、というような表紙絵である。
そのような冊子に掲載されていたのなら、このような平山氏の文章も納得できる。むしろ、児嶋氏のイラストの方が浮いていたのでは!?

だいたいラジオでも京極夏彦に“感覚が古い”と評され、トークショーでは興味の無い他人の話には“フンフン、アー”と気の無い相槌を打つだけだが、自分がメインで話始めると止まらない(←岩井志麻子も近い感覚)。
しかし、自作の小説ほど“人でなし”とは思えず、スナッフやスカトロが苦手で、子供がいじめられるのを見るのが好き(自身、父親が恐怖の存在であったそうだ)。

- 閑話休題 -

賢い男の捨て方」タイトルは刺激的だが、社会性に重きを置き、後味良く男性と別れるテクニックを面白おかしく言い換えながら記載している。
賢い親の裏切り方」親という存在を遠まわしに表現し、自立を薦めている。
賢い失望のさせ方」仕事で家庭で頑張りながらも、周囲の評価は自分と同じとは限らない。ホドホドに生きるのが無難と指摘している。
賢い盆への返し方」社会生活におけるパワーバランス。
賢い暮らしのタカリ方」異常に親切な人への対応の仕方。
賢い占いの信じ方」言いようによって猫の目にように変化する占いへ注意を喚起している。

等々、15回に渡ってカウンセラーでもメンタルトレーナーでも無いし、経験は豊富だが洞察力があるとは思えない平山氏による結構説得力のあるコラム・小論集。
具体例を挙げて(本当かどうかはわからないが)解説しているので、理解しやく共感もできる。
好きなコラムニスト・石原壮一郎に近いものを感じるが、長く生き過ぎて今更変えようが無い私の役には立たない。

今は真面目に生きると損をする時代。やはり、元々のターゲットである20~30代の迷える女性にお勧めの一冊。人生の道を踏み外さないよう参考程度で気軽に読むのが良い。
平山氏のお嬢さんが通う学校の図書室に置いてもらってはいかがかな?

2012.05.01

■無力感は狂いのはじまり [ノンフィクション]

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春日武彦、平山夢明/著
無力感は狂いのはじまり ~「狂い」の構造2~』(2010) 扶桑社新書

精神科医・春日武彦とホラー作家・平山夢明との対談本『「狂い」の構造』が評判良かったのだろう、いつの間にか続編が出ていた。

平山はいつもの事で、いい加減な発言をしていて楽しいが、春日は医者らしからぬ発言で「アワワ、先生そんな事言っていいんですか?」と心配したくなるような歯に衣着せぬ対談。タイトルからは想像できないであろう、思わず笑みが浮かぶ、そんな雑談である。

今回も実際に起きた不愉快な事件の加害者について精神科医として病名をあげながら言及しているが、興味をひいたのは病気の実例の方である。
「自責感のないヤツに本物の鬱はない」
テレビもつけずカーテンが締め切った真っ暗な部屋で、いつか来るトイレに備えて匍匐前進をする鬱病の男。電気ショックが効果的。
「引きこもりは親と子のパワーゲーム、10年こもったら治るのに10年かかる」
真っ暗な物置に一人立てこもり、一言も口をきかずテレビもみない主婦。イソミタール面接。
「パーソナリティ障害等で暴れているヤツに鎮静剤を何本打っても効かない」
キレるヤツは、キレたくてウズウズしている。トリガーに相当するのが“やっぱり”と思ったとき。腑に落ちた怒りが半分、もう半分は喜びの感情。

違和感を感じているくせにあえてごまかし、面倒臭がって流していると後でひどい目に遭う。一応びっくりたふりをするが、内心は“やっぱり”って。
う~ん、これは納得。
仕事で“何か変、でも後で確認しよう”と先延ばししていると手痛いしっぺ返しが来る…クレームだぁ(lll゚Д゚)

しかし、平山の母親が狂ったという話には疑問がある。単に六本木までの道のりに不安があるから連れて行って欲しかったのではないだろうか。まず絵画に対する偏見から始まっているから、不親切な対応に対する反発心で意固地になってしまったのではと、推測される。

今回も楽しい内容だったが、自著の宣伝はいかがなものか? テレビ批判をしておきながら、番宣をするテレビ局と同じレベルではないだろうか。私は新刊で買っているのだから、控えめでお願いしたいと思った次第。それと“殺育”もね。

2012.04.04

■「狂い」の構造 [ノンフィクション]

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春日武彦、平山夢明/著
「狂い」の構造 ~人はいかにして狂っていくのか?~』(2007)
 扶桑社新書

精神科医・春日武彦とホラー作家・平山夢明との対談本。
平山が語るおかしな人の例に春日が相槌を打つといった雰囲気、医師という硬い職業ながらフランクな感じがいい。
表紙が地味だけど、稲川淳二吉野朔実との対談本3冊の中では一番面白かった。

「面倒くさい」が狂いの始まりという章題がある。
具体的な事例をいくつかあげているが、サイコパスの殺人者宅はいずれも臭くて汚いと言う。確かに物と化してしまうと、いつかは朽ち果てるから臭いがあって当然だろう。キレイな引きこもりの部屋は無いらしい。ゴミ部屋は“巣”であり、そこにいる者は“人”から“動物”へと後退していく、残るのは本能のみ。

そして「雑」。支援者が出所させた後の小野悦男や、大阪・一斗缶バラバラ殺人事件などは「雑」さを感じる。行き当たりばったりで目先の事しか考えず、罪悪感も伝わってこない。光市母子殺害事件もそうかも。

「優先順位が入れ替わっている」。そうね、狂人や犯罪者は自分が優先されるべきと考えているのであろう、他人に力を誇示した結果が殺人だったりする。謙虚な狂人はいない。
そして、王様とお姫様がちまたに溢れる。

狂気は治らない、年を取っていくのを待つだけだそうだ。
性格もそうだろう、いつかは…と思ってもほとんど変わらないものだ(11歳位で固定されるらしい)。知人は入社3年にしてやっと仕事をし始めたが、仕事を与えられたからやらざるを得無いだけで、その仕事が無くなったら元通り。自発的に仕事をするタイプでは無く、隙あらば仕事中にゲームしたり、マンガ読んだり、寝たりと中学生のような行動に戻るかも…

暴走族に店を荒らされている経営者が警察に言ってもラチがあかず、地元のヤクザに頼んだらみかじめ料を要求され、廃業に追い込まれた話が掲載されている。
想起するのはもちろん島田紳助。彼はTVでああ言わなければならなかった、そうでなければ芸能界を去るだけでは済まなかっただろう。
そして私が今一番気になるのが、岐阜・御嵩町の女性遺体事件
ボンボンの市川容疑者に頼まれて、被害者を呼び出した小川は巻き込まれただけ。市川が声を掛けた相手が悪かった。戸島容疑者達、考えの違う他人が増えたせいで収拾がつかなくなったのではないか。市川の予定通りには進まず結果的に行き過ぎた行動となり、他人達は口裏を合わせる。そして、被害者家族はやりきれない思いを一生抱える。

と、このように実際の事件について考えさせられる対談となっている。

2012.03.21

■狂気な作家のつくり方 [ノンフィクション]

Yumeaki Hirayama , Sakumi Yosino
平山夢明×吉野朔実/共著『狂気な作家のつくり方
 (2009)本の雑誌社

少女マンガ家・吉野朔実とホラー小説家・平山夢明との対談本。
稲川淳二春日武彦の3人の中では、同年代で同じ出版界にいるせいか対等に話しているように感じる、お互いに映画や本の話が豊富だ。
ただし、育ちも性格も違うせいかちぐはぐな印象で、趣味の傾向がかぶらない。
まぁ、だからこそ本の内容の説明がされているのであろう。同じ本や映画を観ていたのなら、「そうそう、おもしろかったね」で終わってしまう。

あいにく私は20歳で少女マンガを読むのを止めてしまったので、吉野の作品は当時のイメージのまま。繊細な絵柄で内省的な恋愛マンガを表現していたように思う。
だからこそ、平山との対談にはかなり違和感があった…何故にこの二人!?
しかし、『異常快楽殺人』を読んで平山に興味を持ったそうな…吉野って一体どんな人だ!?

吉野は線の細い絵を丁寧に描く生真面目なマンガ家というイメージを持っていたが、意外にもメインストリームからちょっとずれた映画の評論本を出していた。残念ながら同じ映画を観ても、私とは感じ方が違うようだが…
しかし、二人が紹介する本や映画にはかなり興味をそそられる。そして、私の知らない世界であるギャンブルの知識が豊富な吉野に感心した。

それにしても「私、鬼畜作家の嫁なんだ」と泣く平山の妻は、貯金が無くても「書きなさい」と励ます女性だったそうだ。以前はもっと違う作風だったのかしら?
特異な作風の平山の作品は、“こういう人生を歩んで来たから”というのが垣間見られ、吉野はスティーヴン・キング原作映画『ミスト』の息子ビリーのようだ。

2012.03.19

■怖い話はなぜモテる [ノンフィクション]

Junji Inagawa / Yumeaki Hirayama
稲川淳二、平山夢明/共著『怖い話はなぜモテる
 怪談が時代を超えて愛される理由』 (2008)情報センター出版局

怪談の語り部・稲川淳二と鬼畜系ホラー作家・平山夢明の対談本。
この前に精神科医・春日武彦と漫画家・吉野朔実との対談本も読んでいて、この本は平山が聞き手で稲川がメインに話しているといった印象であった。
そして面白くなかった訳では無いが、ちょっと読んでは休んでを繰り返してしまい、3冊の中で一番読むのに時間がかかってしまった。
話し手である稲川が真面目でいい人なので、よくあるエッセイのよう、稲川の半生をサラッと紹介する本といった側面が感じられる。

冒頭のカラスのくだりや雪女の正体とか、納得できるうんちくを披露していて好感が持て、本文にもあるが稲川の怪談には“優しさ”があるのだと思う。
歌舞伎や落語で語られる日本古来からの怪談は、理不尽な思いでこの世を去らなければならなかった者が死後思いを果たすという人情話が多い。それを芸人として確立したのが稲川、そして日本人の感性に響く怪談を伝承しているのだなと思った。たぶん…

さすがに経験が豊富でポルターガイストや等身大人形の話等、かなり興味深かった。
特に怪談がモテるとは言及されていないが、怪談には想像力が必要で、想像力があったら犯罪を犯す事は無いとは語っている。

サービス精神が旺盛なイメージのあるタレントに明石家さんま、柳沢慎吾、稲川淳二がいる。私にとっては落ち着きが無く苦手な3人である。
だからオカルト/ホラー好きの私だが、稲川の出演するテレビは見ないので「学校の怪談」風な話を主に語っているのかと思っていた。しかし、この本を読んでイベントに行ってみようかなという気にはなった。

2011.06.29

■いま、殺りにゆきます [小説]

Yumeaki Hirayama
平山夢明/著『いま、殺りにゆきます』(2007)情報センター出版局

アパートで一人暮らしの雨宮さん。
携帯にかかって来た電話に出ると男の声が<もう、殺りにゆきます>と告げる。「いま、殺りにゆきます」…ホラー

被害者の具体的な苗字をあげ、独白のような語り口で、あたかも実話のような雰囲気をかもす短編36話。
あとがきにも担当編集者がネタの取材をしたとか、体験者から聞き書きしたとか記載されているが、平山氏のラジオをお聞きの方は、彼がゲストからう○つ○呼ばわりされている事はご存知あろう。いつもいい加減な事を話して京極氏にツッこまれ、うろたえる平山氏に爆笑してしまう、楽し~い30分番組だshine

と、考えると気が楽になるという内容。
特に一人暮らしの女性に不安を抱かせるような、重く辛い狂気話が続く。
例えば、部屋に押し入って来た男に身体中の骨を折られるとか、空き室に連れ込まれて身体中を齧られるとか、見知らぬ男に身体中を刺繍されるとか…痛い話オンパレード。

救いは起承転結がある事、加害者に実態がある事。
犯人がわからずとも、警察に届けたとか、引っ越したとか、実家へ帰ったとか…スッキリ終わっているところが良いし、幽霊や超常現象でごまかしたりしないところが好感。
その点、『新耳袋』は「隣の部屋が夜中にガタガタ鳴り、必死でふすまを押さえ続けた」とか、何がなんだか分からないまま放置プレイ。
まぁ事実とはそんな物で、分からないままがほとんどなんだけどねsweat01

で、表題作「いま、殺りにゆきます」は、都市伝説<メリーさんの電話>タイプ。『渋谷怪談』にも同じようなのがあったなflair

2010.01.04

■日々狂々、怪談日和。 [小説 平山編]

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平山夢明/著『「超」怖ドキミオン 日々狂々、怪談日和。』(2005)竹書房文庫

母の実家は鳥獣の商社を営んでいた。月に一、二度検疫で留め置かれた動物達に餌を与える為、羽田空港の倉庫へ行く。
長旅の間、ストレスのたまった仲間に踏まれ押しつぶされて弱ってしまった動物を母は家へ連れ帰っていた「6月27日(金)はんぺん猿」…エッセー

ウェブで公開していた日記をまとめたドキミオン=随筆。
ネットは禁止用語も書き放題なので、出版するにあたってかなり修正をほどこしたそうだが、元の日記を探したけれど見つからなかった、残念。

一部には夢オチもあるが、よくもこんなに変わった事象に遭遇するもんだと感心してしまうほど、奇妙な出来事が書いてある。
風変わりな日常なのだ…真実かどうかは分からない。
平山氏自身、他とは違って治安の悪い地域で生まれ育ったそうで、知らない大人に突然殴られたり、ご自身も微妙にイタい子供だったようだ。
一般人とは違うからこそ、おかしな人に出遭っても冷静に対応し、観察して文章化できる作家となり得たのであろう。

「6月23日(月)雨」や「9月6日(土)代走」、「11月15日(土)ふんふんピヨピヨ」、「12月11日(木)真ん中娘」、「4月14日(水)ひとりでぽつんと掘ってみた」、「6月27日(日)老婆の愛犬」などは切ない。
「7月14日(月)小咄を道端で売ること。」は小気味良くて好きだ。
「9月10日(水)髪を焼く人」火事場のバカ力みたいな感じかな、こういう境遇の人は身に付けておくと良い能力かもしれない。

日常を書いているので、東京に住んでいる私も同じような体験をしている事柄がいくつかあるが、プーちゃんみたいな人には話しかけない。
私も台風も嵐も子供の頃から好きであるが母に止められていたので、いまだに外に出る程の行動力がない。
ウィスキーの水割りとポテトチップのコンソメパンチを一緒に口にしてみようとは思う。

2009.11.29

■顳顬草紙 [小説 平山編]

こめかみ草紙 平山夢明サイン ←サイン
平山夢明/著『怪談実話 顳顬(こめかみ)草紙 串刺し』(2009)
 メディアファクトリー

屈託のない17歳の少女・沙織は、リストカットの常習者。
小学生の頃、彼女には架空の友達トモちゃんがいた。中学時代、身体に剃刀をあてると傷口から声がした。それ以来、彼女は事あるたびに自分の両腕を切り刻む「傷口」…ホラー

怪談ノ宴2009』の時に購入したサイン本。結構前に読み終わっていたんだけど、感想を書き損なっていた。

この『顳顬(コメカミ)草紙』は、「怖い本」シリーズとか「東京伝説」シリーズのような奇怪なお話を集めた短編集。シリーズ物を読み始めるとキリが無いので、単発の短編集をたまに読む程度にしている。
単行本の『ミサイルマン』や『他人事』より短い8ページ前後のコネタが満載。どれもちょっと不思議なお話ばかりで、不愉快な気分になる事もあるかもしれないが、あまり残らないので大丈夫、サラッと読める。

そんな中、引きずってしまったのが「ガスパン
アフォーな若者が遊ぶ話では無く、歯医者がハマってしまった“笑気ガス”の話が興味深かった。
ガスによる閉鎖空間によって吸っている当人に変化をもたらしたという内容なのだが、ケン・ラッセル監督の『アルタード・ステイツ』をイメージさせた。

それと「麻酔二題」の後半。
全身麻酔から醒める時、20人に1人は錯乱するという。ある総合病院では、その覚醒時のパワーが外に働くという話。
私も手術後の麻酔の影響で朦朧としていた時、あらぬ事を口走ってしまい、タガがはずれた時の自分の本当の姿が分かったような気がした。ボケるとその人の執着している物にこだわると言う、例えば「ご飯はまだかね」とか「金を盗ったな」とか…私はメカメカした物に執着するようだ。

それにしても、平山氏はよくもこんなにネタが尽きないものだなぁと感心するばかり…おっと、これは“実話”と銘打っているから地球に住む人々の分だけネタがあるという事か???
あなたもいつかインタビューされるかも…ネタを用意して待っておこう?! 一つや二つ、おかしな話を持っているでしょ。私にも、自称霊感持ちという眉唾ものの知人がいる(笑)
こういう話大好きだけど全く信じてない。だって、本当にあったら怖いじゃん♪

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