2009.11.29

■顳顬草紙 [小説]

こめかみ草紙 平山夢明サイン ←サイン
平山 夢明/著『怪談実話 顳顬(こめかみ)草紙 串刺し』(2009)
 メディアファクトリー

屈託のない17歳の少女・沙織は、リストカットの常習者。
小学生の頃、彼女には架空の友達トモちゃんがいた。中学時代、身体に剃刀をあてると傷口から声がした。それ以来、彼女は事あるたびに自分の両腕を切り刻む「傷口」…ホラー

怪談ノ宴2009』の時に購入したサイン本。結構前に読み終わっていたんだけど、感想を書き損なっていた。

この『顳顬(コメカミ)草紙』は、「怖い本」シリーズとか「東京伝説」シリーズのような奇怪なお話を集めた短編集。シリーズ物を読み始めるとキリが無いので、単発の短編集をたまに読む程度にしている。
単行本の『ミサイルマン』や『他人事』より短い8ページ前後のコネタが満載。どれもちょっと不思議なお話ばかりで、不愉快な気分になる事もあるかもしれないが、あまり残らないので大丈夫、サラッと読める。

そんな中、引きずってしまったのが「ガスパン
アフォーな若者が遊ぶ話では無く、歯医者がハマってしまった“笑気ガス”の話が興味深かった。
ガスによる閉鎖空間によって吸っている当人に変化をもたらしたという内容なのだが、ケン・ラッセル監督の『アルタード・ステイツ』をイメージさせた。

それと「麻酔二題」の後半。
全身麻酔から醒める時、20人に1人は錯乱するという。ある総合病院では、その覚醒時のパワーが外に働くという話。
私も手術後の麻酔の影響で朦朧としていた時、あらぬ事を口走ってしまい、タガがはずれた時の自分の本当の姿が分かったような気がした。ボケるとその人の執着している物にこだわると言う、例えば「ご飯はまだかね」とか「金を盗ったな」とか…私はメカメカした物に執着するようだ。

それにしても、平山氏はよくもこんなにネタが尽きないものだなぁと感心するばかり…おっと、これは“実話”と銘打っているから地球に住む人々の分だけネタがあるという事か???
あなたもいつかインタビューされるかも…ネタを用意して待っておこう?! 一つや二つ、おかしな話を持っているでしょ。私にも、自称霊感持ちという眉唾ものの知人がいる(笑)
こういう話大好きだけど全く信じてない。だって、本当にあったら怖いじゃん♪

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2009.11.28

■ダイナー [小説]

Diner by Yumeaki Hirayama
平山 夢明/著『ダイナー』(2009)ポプラ社

見知らぬ男女の運転手となったが為にトラブルに巻き込まれたカナコ、料理ができる事を理由に会員制のダイナーで働く事になった。
ボスの名はボンベロ、絶品の料理を作る名コック。そして相棒の名は菊千代、頼もしいヤツ。そこは殺し屋達が集う危険なダイナーだった…サスペンス/ドラマ

平山氏の久しぶりの長編なので、中古ではなく新刊を買った。手元に届いてから気がついたのだが、ポプラ社…児童書の出版社じゃなかった?!
この出版社は鬼畜な小説も扱うのかと思いつつ読み進めると、何だか今までと傾向が違う。
読み易いのは別として、グロテスクな描写もあるのだが、それよりも旨そうなハンバーガーのシズル感や義理や人情のような人間味がきわだって感じられる。

あだ名のような名前なので多国籍感が漂い、組織と書かれているがやくざというよりギャングを連想させ、“ノワール”とか“ハードボイルド”という言葉がシックリくる。
シン・オークボ、横浜、渋谷と地名も出てくるのだが、最後なんかどうしても『バグダッド・カフェ』が頭から離れず、回転草が転がる荒涼とした風景を想像してしまう。

一番気になったのが、登場人物の顔が浮かばないのだ。
身体つきに関する記述はあっても、顔形が今一つつかめなくて、顔の部分にモヤがかかった人々の半地下のさほど広く無い要塞のような店内における、彼らの過去に裏打ちされた特殊な群像劇。
そう、トラウマや罪悪感に捕らわれた愛すべき奇人変人達が織り成す風変わりな交流を描いている。
年齢も書かれていないので勝手に自分の中でイメージを作り上げて読んでいたのだが、肝心なカナコとボンベロの容貌が浮かばない。そういえば『メルキオールの惨劇』の12もモヤのままだったなぁ~

Diva Vodka解体シーン等はモヤッとしたままで良い(実際に見た事無いから分からないし)。しかし、後半のバトルシーンは興奮もので、準備段階から頭の中にイメージを構築しつつ丁寧に読んだ。
最後はもう“ファンタジー”と言っていいくらい。胸がキュンとするように切なく、心に火を灯すような希望を感じさせる読後感を与えてくれた。ぜひ、続編を!

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2009.03.27

■井戸端婢子 [小説]

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平山 夢明/著『大江戸怪談草紙 井戸端婢子』(2007)竹書房文庫

水炊き屋を営む両親の元に生まれた二人の幼い兄弟は、行き倒れになった老人を救ったお礼に「心魚」をもらった。それは、“本当の心の姿が見える”不思議な力を持っていた。
ある日、店を訪れた男に不穏な影を感じ、真実の姿を覗いたら…ホラー

平山氏による時代物の短編怪談集。
それほど怖くはなく、むしろ“狸に化かされる”とか“狐につままれる”とか微笑ましく感じる話が多いので、ホラーが苦手な方でも、オチのある情緒ある昔話として楽しめると思う。「盥猫」「汁粉」「狸の駄賃」なんかほのぼのして良いんじゃないかな。

そんな中でも、鬼畜好きの私の印象に残ったのが「心魚」「髪賽銭」「人独楽」。結局、妖怪や幽霊より人間の方が恐ろしい、というありきたりな結論に達してしまうのだが、魑魅魍魎なんて物は元々存在しない人間の想像の産物なのだから、実在する物の方が怖くて当たり前だ。
そして常々考えてしまうのが「幽霊」という物。特に上記の話などを読んでいると、“恨みつらみ”を何とかし返してやろうとして考え出された存在が「幽霊」なのではないかと思っている。
♪そうだったら いいのにな~
恨む相手に対して、直接手をくだせない小心者が「幽霊」という架空の存在によって、頭の中で復讐を果たす。なんつー、ヘタレ。
いや、悲惨な状況に対するせめてもの“救い”を求め、“情け”をかける心が人情と言うものかも。
まぁ、“夜爪切ってはいけない”みたいな、戒めとしての「幽霊」や「妖怪」話もあるけどね。

それにしても、平山氏はよくもこんなにたくさんコネタが思いつくものだと感心する。
言わばアイディアマン、もしもイベントプランナーだったらアキの来ない多彩な演出をするだろうし、町の発明家のように大量に創造するのではないかと思う。平山氏の将来の姿は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のドクみたいな感じかな?! いや、もっとマッドになって欲しいー ファンの願い(祈)

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2009.03.15

■怪談実話系 [小説]

怪談実話系
「幽」編集部/編『怪談実話系-書き下ろし怪談文芸競作集』(2008)
 MF文庫ダ・ヴィンチ メディアファクトリー

雑誌「」によるホラー系作家10人の怪談話アンソロジー、虚実の境界領域である“実話系”、“実話”とは明言していないギリギリのところ。
日本の怪談だからベールがかかったようなモヤッとした雰囲気の恐怖レベル、何となくフィアーって感じの短編集。短い話なので残念な事に謎のままスッキリ終わらない。例えオチがあったとして、どうして? 何だったの? という疑問が残る。
でも、そのもやもやした余韻を漂わせたまま終わらせるのが日本的だと思うし、特に説明しなくても良い。だって実話かもしれないんだから、幽霊は事細かに解説はしてくれないよ。

京極夏彦「成人」
ずっと気にはなっていたのだが、初めて彼の小説を読んだ。
さすがに上手いねー、最初にくどくどと説明してから子供の作文を掲載するのだが、何を言いたいのか分からない。しかし、読み進めるうちに頭の中でイメージが形作られて来る。私の中では“ゆで卵”なのだが、登場するB君にとっては“特別な存在”なようだ。そう、ヴェルタース・オリジナルのように…違うって。
最初の読みにくさは“伏線”で、後になるほど話に厚みが増し、理解し納得できる。もっとこの先を知りたいと思わされ、はがゆさが残る話だった。

福澤徹三「見知らぬ女」
ごく普通の小説かと思わせておいて…これもまたはがゆい。

安曇潤平「顔なし地蔵」
正統派の怖い話。

小池壮彦「リナリアの咲く川のほとりで」
怪しげな事を言う方で、もしも知り合いだったら構えてしまうタイプと思い込んでいたが、小説の方は意外にもメランコリックで切なさが漂う、余韻が心地いい。
ミオとの出会いそして別れ、それは繊細な少年期の終わりだったのかもしれない。遠い過去へ思いを馳せる、リナリアを見かけるたびに…

木原浩勝「後を頼む」
旧家でありそうな話。平凡な人々が「こんな事が起きたらイヤだねー、由緒ある出自ではなくて良かった」と安心するような話。

平山夢明「顳顬 蔵出し」
う~む、さすがに平山氏。
「雨だれ」は怖いと言うより気持ちが悪い。そして、得体の知れないモノからリアクションがあるところが、他の怪談話と違う不気味さをかもし出している。後味が悪いと言うより、気味の悪さを引きずる読後感が不愉快で印象的、だから良い(自虐的かも…)。

岩井志麻子「美しく爛れた王子様と麗しく膿んだお姫様」
他の短編とは異なるサイコスリラー感覚の体験談。本当か嘘かは分からないけれど、真実も含まれているのでリアリティが感じられ、実際にあった話と考える方が楽しい。でも、当のご本人達もこれを読むかも…

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2009.02.01

■SINKER 沈むもの [小説]

SINKER 沈むもの by Yomeaki Hirayama
平山 夢明/著『SINKER 沈むもの』(1995)TOKUMA NOVELS

3人の幼女の遺体が発見された。発見場所も犯行手口も違っていたが、その残忍性から同一犯の可能性があり、手がかりを求めてキタガミ警部は超能力者ビトーと共に、医療刑務所に収容されている心理学者プゾーの元を訪れる…サスペンス/スリラー/ホラー

今まで読んだ彼の短編小説等とは趣きが違う、読み応えのある長編サイコ・ホラー。
確かに残酷な描写はあるが、近年発表されている小説の圧倒的な異様さとは異なるまともなサスペンス小説であった。

主人公はビトーかと思って読み進めていたが、語り手がころころ変わり、主観がぼやけてしまい、なかなか感情移入できずにダラダラ一ヶ月かけて読んでしまった。
結局のところ、私は苦しい立場に追いやられながらも懸命に犯人を追い求めるキタガミ警部が主人公と思った方が共感できて、読みやすい。
特に最後の犯人との対決シーンが良い。早く読みたくてつい行を飛ばしがちになるはやる気持ちを抑えつつ、まだるっこしい動作(犯人を目の前にして電話かけるかな?等)にイライラしながら、警部と共に痛みやビトーの感覚を想像しながら、狂おしく読んだ。
どうして被害者側に沈まないのかと、ビトーには共感できないままだった。

色々な例え話が出てきて著者の知識が豊富だと感心するが、詰め込み過ぎな感もあり。そして薀蓄も豊富。
私が気に入ったのは、ギルフォードの言「一番、恐ろしいことは現役時代に救い難い悔いを残すことだ。~それはウィルスのように君の残りの時間を喰いつぶしてしまうぞ。~」(P200)

収監されている心理学者にお伺いを立てるところがトマス・ハリス/著『羊たちの沈黙』に似たアプローチ、犯人は『レッド・ドラゴン』とも言えるかな。
いわゆる“負の連鎖”、抑圧された人間はどこかで何かで発散するのだろう、誰も本人さえも予想がつかない。この犯人は“無知”のなせる業、悲しいね。

           *     *     *

知人の娘は祖母に虐待され、知人は離婚し、娘と共に暮らしていた。娘の話をうのみにする知人は疑心暗鬼に陥り被害妄想気味、娘もまた登校拒否で自宅にこもるようになった。
久しぶりに見かけた娘の目が泳いでいて、とても声を掛けられる雰囲気では無く、心に傷を負った家族が密室化するのは良くないものなのだなと思った。

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2008.12.19

■メルキオールの惨劇 [小説]

Melchior
平山 夢明/著『メルキオールの惨劇』(2000)ハルキ・ホラー文庫

三人の息子の母・美和、一番下の6歳の澪を殺した罪で服役し出所していた。未だ発見されない少年の頭部を手に入れる為に、自称“12(トウェルブ)”は事故を起こし、まんまと彼女の家にもぐり込む。
その家の息子二人は度肝を抜く異様さだった…ホラー

一番驚いたのはカバーに印刷された作者の写真。普通の人だ~
この本は先日の『不思議SNSララーボナイト』で平山氏を拝見する前に手にしていた。それまで、エグい短編を書くホラー小説家をかなり個性的なイメージで捉えていたのだが(稀有な才能の米良美一のように)、みごとに裏切られた。どこにでもいる普通の男性で、街で会っても気付かないだろう。こういう方が書いていたのか…

最初の登場から度肝を抜く、「犬を頭上でグルグル振り回す」なんて事をどうしたら考えつくんだろう。
かなり薄い本なのだが、カタカナの名前やらで無国籍なイメージしかわかず、小説に入り込むまでちょっと苦労した。それに私にとって非日常的で、想像する為には頭の中で反芻しなければならなかった。

8年前の中編小説で単なるサスペンスかと思っていたら、新約聖書の“東方の三博士”が登場する。おまけに主人公である“トウェルブ”も一癖ある男で、彼もまた答えを探していた。その答えを持っているかもしれないのがメルキオール=犬を振り回す男=朔太郎である。

それほど残酷でもなく(不快な描写はあるけど)、風変わりな家族と異様な男に雇われた探偵の心の交流を描いたファンタジーであった。
トウェルブは「個人的な感情は無い」と語っているが、やはりこの家族との関わりには感情移入してしまう。
「すかした気違いより、無垢な白痴」の方が私も趣味だ。例えて言うなら、隣の一見穏やかだがこそこそ隠れて不正を行う中年より、ひとつ隣の口うるさいが夜中まで一生懸命働く青年の方が趣味である(←ちょっと違う?)。
結局、肝心な物は見つからずもやもやしたまま終わってしまった。続編希望!

つい「Skippy/SuperChunk」を買ってしまったが、かなりしょっぱい(ベストフーズ社のは無い)。ヤマザキの「ランチパック ピーナッツ味」のイメージで読んでいたんだがな~

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2008.11.11

■STUDIO VOICE Vol.396 [雑誌]

スタジオ・ボイス
STUDIO VOICE』Vol.396 December 2008 INFASパブリケーションズ

不思議SNSララーボナイト』で、『スタジオ・ボイス』が“オカルト・ホラー&ミステリー”特集だと言っていたから買ってみた。実に20年ぶり?! 680円だって、以前は980円位ではなかっただろうか。
以前と変わらぬ感触で、厚手のザラザラした紙におしゃれなレイアウトとかっこいいモデル。でも、オカルトって意外なような気がする…表紙はカタコンベなのだろうか。

対談や寄稿、UFO/UMAミニ辞典などが掲載され、ホラー小説や映画の紹介が嬉しい。
X51.ORGの主宰者・佐藤氏、懐かしのエスパー清田君、ホラー作家・平山氏も登場。
雑誌なので掘り下げは浅いけど、色んな怪しい知識を吸収する事ができ、何の役にも立たないが好奇心は満たせる。好事家はもとよりホラー初心者にうってつけの一冊ではないだろうか。
特に面白かったのは、辛酸なめ子「心にしみる、スピリチュアル・グッズ」。

今では信じちゃいないけど、子供の頃から“世界の七不思議”や“怪談”が大好きだった。
天国も地獄も無いけど、誰も行った経験が無い所だから完全に否定する事もできない。幽霊なんて誰も存在を証明できていないが、私が苦手とする心霊写真が載っていなくて良かった~

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2008.11.10

■他人事 [小説]

Hitogoto by Yumeaki Hirayama
平山 夢明/著『他人事』(2007)集英社

クラスメイトのチャコから電話がかかって来た「…痛いよ」
かつてのヒロと同様、義理の父親に虐待されているチャコを助ける為に、宗教へ貢ぐ母親の財布を掴み、彼女の自宅へと駆けつける「おふくろと歯車」…ホラー

短編集全14編。装丁は凝っていて、丸く切り取られた窓から覗くのはトレヴァー・ブラウンの『our lady of raspberries』、中には透ける赤い紙が挟み込まれている。

中身は相変わらず、鬼畜オンパレード。
でも、不思議な事にイメージする風体が普通のどこにでもいる人に感じられて仕方がない。舞台設定が『独白するユニバーサル横メルカトル』や『ミサイルマン』のように自分とは関係の無い別世界のような出来事では無く、ありふれた身近な人々の異常な体験談話が書かれているからなのだろう、語っている主人公の考えに共感できる。
でも、こんな経験はゴメンだ。

他人事
イヤな感じはするのだが、“事故に遭った人を助けて当たり前”という価値観を押し付けてはいけないという戒めなのか。
状況を変えれば、電車の中で被害にあっている人を目の当たりにしながら、誰も助けようとしない人々は男と同じレベルかも。または、電車の中で倒れている酔っ払いがいたとする。汚物まみれで悪態をついていたら、見て見ぬフリをするだろう。しかし、彼が見るからにやばそうだったら…どうするだろうか?
結局、事故当事者の態度にも問題があるので、男の事をむやみに責める事もできないし、納得できる結末だった。

倅解体
実際にあった二つの事件を思い出してしまう、イヤ~なお話。そして、ひねりがきいてる所が良い。

おふくろと歯車
友人の母親が宗教にのめり込んで大変だと言っていたのを思い出し、彼女の母親はもう頭が別世界へ行っちゃってた感じがした。
でも、この小説におふくろはほとんど出て来ず、不幸なカップルの純愛物語。

仔猫と天然ガス
若者パワーの不条理炸裂、これが一番不愉快。

しょっぱいBBQ
生きるのが下手な家族が更なる不幸に見舞われる。

れざれはおそろしい
可哀そうな彼に救いの道は無いのかね、彼がもっと精神的に強ければ良かっただけの事かも。これもまた生きるのが下手な家族で、いつも犠牲者は…

上にも書いたが、どこにでもいるような人々の話なので、わりとすんなり頭に入る。そして、その人達を不幸に陥れているので精神的に強い人なら大丈夫、読めるよ。ケッチャムのどん底小説より、救いがあるから読みやすい部類だと思う、ホラーが平気ならね。
墓場の向かいに住んでた時、「実態の無い幽霊より、実際に被害に遭わせられる人間の方が怖いよ」と、先輩に言われたな。

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2008.11.06

■ミサイルマン [小説]

Missile Man
平山 夢明/著『ミサイルマン―平山夢明短編集』(2007)光文社

スポーツ新聞に載っていた“心霊写真”に見覚えのある顔が写っていた。それはツヨシとシゲが殺した女だった。
撮影現場近くに埋めた女の遺体を確認しに行くと、呪いがかかってしまった「ミサイルマン」…ホラー

短編集全7編、表紙はポーランドの画家ズジスワフ・ベクシンスキー。異様な内容の中身を予感させる装丁となっている。

ドキドキしながら、読み始めたが『独白するユニバーサル横メルカトル』よりもパワーが落ちたかな? と思うような滑り出し。
テロルの創世」はSFの題材にありがちな設定、横文字が多いのと説明が足りなくて、何かごまかされたような気分に陥る。
その後に続く話も吸血鬼や狼男といった既存のイメージが感じられて、どこか物足りない…

それらを覆し、“あぁやっぱり平山夢明だ”と再認識できたのが「枷(コード)」。邪悪な行為でありながら、語り口が淡々としている為、おぞましい描写も何となくさらっと読み進めてしまう。頭の中でイメージを描きたくは無いのだが、迷走や混乱が感じられない為、わりとクリーンな風景。例え、グロイ物でも。
或る彼岸の接近」はオカルトっぽく、オチがあるのも好感。それは想像できる範囲。
表題作「ミサイルマン」は犯罪をゲームのように行う男達が不快だったが、オカルト的展開になってから、異様な雰囲気が漂い面白くなった。シゲの意外な過去もいい、High-Lowsの「ミサイルマン」を聴いてみたいと思える。

彼の小説は疲れる。短編だから休みながら読めるのでまだマシなのだが、一編、一編が重い内容で、どうしてこんな異常な事が考え付くのか、とても怖い。気味が悪い話ばかりなのだが、私を捉えて離さない何とも言えない魅力がある。

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2007.01.17

■独白するユニバーサル横メルカトル [小説]

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平山 夢明/著『独白するユニバーサル横メルカトル』(2006)光文社

小学生のふみはいじめられっこ、今日も級友に倒され意識を失う。家では義父に殴られ、実母は宗教にのめり込む。
町で奇怪な殺人事件が立て続けに発生し、ふみは祈る“あいたい”“あいたい”“あいたい”「無垢の祈り」…ホラー

本屋で「このミス1位」という文字に気付き、注視したら奇妙なタイトルとイラスト、心惹かれるモノがあった。だが、場所を取るハードカバーで買う気がせず、地道に立ち読みした(←大人げない)。
しかし、家に帰ると続きが気になって仕方が無い、頭の隅にこびりついて私を悩ます。図書館は70人待ち、とうとうこらえきれず買ってしまった。

その中身は独特。題名からして“何だろう?”と、ときめくモノがある。
読み始めの雰囲気とは別な方向へと発展し、先が読めない。そして、ささやかなオチがある。
八つの短編集だから区切りごとに休めるけど、一編を読み始めたら止める事ができない。

「C10H14N2(ニコチン)と少年―乞食と老婆」
 いたいけな少年に同情させておきながら、どうしてこの仕打ち。
「Ωの聖餐」
 実際にあるかもしれないと思わせるような、おぞましいオープニングに心がざわめいたが、何だか違う。
「すまじき熱帯」
 密林での闘いかと思ったら、オカマが出てくる始末。
「独白するユニバーサル横メルカトル」
 腰の低い地図の独り言が読みづらいと思っていたら、途中から分かりやすいご主人様のご乱心。
「怪物のような顔の女と溶けた時計のような頭の男」
 何かの宗教かと思ったら、夢見る解体屋さん。

グロテスクで悪趣味、他の小説が軽く思える異様な暗黒世界。
単なるミステリーと思って読んだら後悔するかもよ。でも、「このミス」の1位がこういう本とは??? もっと眠らせてくれないような推理小説は無かったのかね。
自分が汚れてしまったような気分に陥ったけど面白かった、もともとこのテが好きだしね。

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