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2012.11.30

■爛れた闇の王国 [小説]

爛れた闇の王国 by Kou Amemura
飴村行/著『爛れた闇の帝国』(2011)角川書店

高2の正矢は小学校からの気のおけない仲間と“ワンダースリー”というグループを組んでいたが、突然正矢が学校を辞めた事で3人のバランスが崩れ始める。
しかし本質は別のところにあった。それは、高3の崎山と情事を重ねる41歳の母親の存在…ホラー/スリラー

飴村行と言えば粘膜シリーズ、独特の歪んだ世界を文章で表現する。
本作は粘膜シリーズとは別物の単行本、正直言って文庫本である粘膜シリーズの方が面白かった。

粘膜シリーズのように、昭和初期の雰囲気を漂わせる軍人・尚人の章と昭和後半の高校生・正矢の章が交互に綴られる。それぞれがどう関わっているのかが、ミステリー。
話が進むにつれて段々と謎が解けていくのだが、『神様ゲーム』のように不愉快な展開で後味が悪い。まさに爛れた(ただれた)世界の話だよ。

2012.11.25

■金色の獣、彼方に向かう [小説]

金色の獣、彼方に向かう by Tsunekawa Kotaro
恒川光太郎/著『金色の獣、彼方に向かう』(2011)双葉社

「異神千夜」
13世紀、中国人貿易商の養子となった少年・仁風。
運命の波に揉まれ、再び日本へ戻る。また、彼と共に海を渡って来た妖怪が姿を現す。

「風天孔参り」
孤独な中年・岩渡は、美しい20代の女性・月野優に熱を上げる。
年の離れた彼女が語る不思議な話。殊更気にもとめていなかったが、現実と知り、打ちのめされる。

「森の神、夢に還る」
森を漂う精霊は、未来に胸を高鳴らせる女性と共に旅をした。
着いた場所は東京、多種多様おかしな人も居た。そして思い出す、泉のほとりの出来事を。

「金色の獣、彼方に向かう」
樹海を川ではさんだ草原で少年と少女は出会った。そこで、見つけたイタチにルークと言う名を付けて飼い始める。
やがて少女は少年に無理な要求を突きつけ、ルークを連れ去ってしまう。

2005年、第12回日本ホラー小説大賞『夜市』の作者・恒川光太郎のホラーファンタジー短編4作。
長編の方が好きなのだが、平山夢明同様なかなか上梓されないのでヤキモキしてしまう。アイディアの小出し?
恒川の場合は素敵な作品なのだから、もっと肉付けしてから四部作にし、何年かおきに出版しても良いのにと思う(とは言え「風天孔参り」は別)。

短編だが共通点は鼬(いたち)、緑の目をした金色の生き物だ。そしておそらく富士山麓樹海がある山梨県を舞台にした物語。

淡々とした文章なのだが、何故だか空恐ろしかったり、物悲しかったり。
特に「異神千夜」の蒙古来襲と鹿川村の描写を想像しないように自分を戒めなければならない。
「金色の獣、彼方に向かう」の少女・千絵を救えたならと無力感を覚え、「森の神、夢に還る」P186では『夜市』『雷の季節の終わりに』の爽快感が味わえる。

“サンカ”、“ホイト”久しぶりにこの言葉に接した、子供の頃以来かも…

2012.11.19

■悪の教典 [小説]

Lesson of the evil by Yusuke Kishi
貴志祐介/著『悪の教典』(2011)文藝春秋

東京都町田市の私立高英語教師・蓮実聖司、通称ハスミンは生徒から人気があり、父兄や教師仲間からも一目置かれる存在であった。
しかし、裏の顔は他人への共感能力に欠けるサイコパスであり、自分の邪魔をする者がいれば、容赦なく消してしまう残忍な男であった。
巧みに人をあざむいて生きて来たが、わずかな失態からほころびが生じ、それを取り繕う為に大量殺人を決行する。狙いは担任する生徒達、まるで狩りをするかのように子供達を追い詰める…サスペンス/ホラー

映画が公開される前に読まなきゃ、と買ったボリュームのある一冊。
学園ドラマは苦手なんだよねー、と思いつつダラダラ読んでいたが、元々大好きな作家なのだから当然読むスピードが上がってゆく、最後はやはり徹夜読書。
でも、ホラーは読んでいる途中で止める事はできないのだ。何しろ脳が興奮状態に陥ってしまい、成り行きが気になって、眠れた試しが無い。

会話に英語を混ぜて話すハスミン、ルー大柴のようで胡散臭い雰囲気が漂う。政治家が馴染みの無い英語を取り混ぜて話し、民をけむに巻くのにも似ている。
そして、この晨光学院の教師も怪しげな人物が多い。
周囲が怪しげだからこそ、ハスミンの好感度が際立ち、異常な行動が埋もれ、誰の仕業かが特定しにくい。

でも読者は最初から犯人が分かっているのだから、もどかしい気持ちに陥る。怜花と共にハスミンの裏の顔をあばくため、必死に戦っているつもりになる…ここからが夢中になれるか、嫌悪するかで性格が分かれるかも。もちろん、夢中になるタイプは正義感のある人(たまにハスミン側の者もいるであろうが)、現実を直視できない夢見るお子様にはキツイかも。

それにしても、最後のどんでん返しには参った…一度落としてから、一気に巻き返す。憎いゾ、貴志祐介!

2012.11.18

■新世界より [小説]

From the New World by Yusuke Kishi From the New World by Yusuke Kishi From the New World by Yusuke Kishi
貴志祐介/著『新世界より』上中下(20111)講談社文庫

今から千年後、利根川下流にある八丁標に囲まれた地域、神栖66町に住む12歳の少女・渡辺早季。
思春期になると呪力(サイコキネシス)が目覚め、全人学級へと進む。1斑の友人達と共に夏季キャンプで八丁標の外へ出た時から、彼らの世界に疑問を持つ。
悪鬼とは何か? 業魔とは!
歴史的な未曾有の出来事を経て、彼らは子供時代と別れを告げる…SF/ファンタジー/ホラー

貴志祐介もとうとう、「ブレイブ・ストーリー」「屍鬼」「ルー=ガルー」などのような<ハリー・ポッターシリーズ>に代表されるティーンズ向けの小説を書いたのかと、読むのを先延ばしにしていた。
少年少女の青いお話でなかなかとっつきづらく、アニメ放映開始と共に読み始めた。
アニメを見ては、その部分まで小説を読む…と地道に読み進めていたが、いつの間にかアニメを追い越して、夢中で読了してしまった。

そのきっかけは、“業魔

奇怪に拗くれた植物、絶えず蠕動し続ける木々、無数の亡者の顔が浮かぶアカマツ…その先を知りたいと思っても、真実を明かされるのが怖い。

これは全て、前章における登場人物の綿密な性格付けのせいで、感情移入してしまった私の率直な気持ちである。作者にしてやられた…すっかりどつぼに嵌まって逃れられない。
ここからはジェットコースター、眠る事ができず徹夜読書(;´д`)ヽ
暗黒の「スタンド・バイ・ミー」、未来の「ヴィレッジ」。とどめの一撃にやられ、しばらくこの小説の事が頭から離れなかった。
2度目に流れるドボルザークの「家路」がとて辛く、子供の頃に刷り込まれたこの曲が、特別な意味を持つ日が来ようとは夢にも思わなかったよ。

ちなみに上記の日本人小説家の本は未読。貴志祐介がこんなに面白いんだから、人気のある作品はもっと面白いんだろうね、今度読んでみる。
漫画の表紙が手に取りづらいイビツな作風、何とかして欲しいヽ( )`ε´( )ノ

2012.11.17

■ダークゾーン [小説]

Dark Zone by Yusuke Kishi
貴志祐介/著『ダークゾーン』(2011)祥伝社

プロ棋士を目指す20歳の大学生・塚田が気が付くと、そこは異世界の軍艦島だった。
彼は“赤のキング(王将)”として異形の者と化していた。
恋人・理紗を含む18体は、友人・奥本である“青のキング(王将)”率いる敵軍と命をかけた戦いに挑む…SF/ファンタジー/アクション

クリムゾンの迷宮』のような屋外バトルゲーム、人間チェスや将棋をイメージさせる設定である。
舞台は、長崎県に浮かぶ廃墟の端島と東京のリアルな学生生活が交互に描かれている。
周囲の知人達と共に戦い続ける明けない夜、将棋も恋も学校も先が見えない日常。果たしてバトルは塚田の冴えない現実から逃れる為の手段なのだろうか…

この本の前に、『悪の教典』と『新世界より』を読んでいたので、期待が大いに高まっていた。
しかし、カードゲームやボードゲームもやらない私には想像力が足りず、プライドが高い主人公と中二病的な内容に共感しかねて最初から四苦八苦。「いつか面白くなる、夢中になる」と言い聞かせながら読み進めていたが、とうとう最後まで冷めたまま ( ̄ω ̄;)
貴志祐介のホラー小説は大好きだけれど、<防犯探偵・榎本シリーズ>も冷めたまま淡々と読むので、私にとって後者と同じような傾向の本であった。

相手を倒すとポイントが加算される戦闘シミュレーションゲーム。ポイントと言ったら買い物するとつく物と考えている私には容易に飲み込めない。
サラマンダやゴーレムは想像できても、ポーンに角がついてたり切り裂いたりする姿が私にはイメージできず。
キュクロプスは“001”しか頭に浮かばない┐( ̄ω ̄)┌
地図ではなく、クリーチャー画像が印刷されていた方が良かったかも~

2012.11.15

■少女椿 [ガロ系まんが]

Amazing Freak Show by Suehiro Maruo
丸尾末広/著『少女椿』(1999改訂版) 青林堂

12歳の少女みどりちゃん。
3年前に父が家出、一緒に暮らしていた母が死んで、行くあても無く、見世物小屋の親方にだまされて芸人にされてしまった。
つらい毎日、学校にも行っていない。
そんな時、小さいおぢさんが入団し、西洋手品で人々をたぶらかす。みどりちゃんもすっかり心を奪われてしまった…ドラマ

以前、東横線沿いに住んでいた。
当時、乗り換えの菊名駅にロッテリアがあり、ポテトがおいしかった…というのは関係無い。
横浜線から乗り換える時、よく書店に寄っていて(たぶん有隣堂)、サブカル本が豊富でバックナンバーも充実していた。
そこで丸尾末広、花輪和一、ひさうちみちお等を立ち読みしては、気持ちが悪くなってご飯が食べられなくなっていた。

久しぶりに読んだ『少女椿』の冒頭で、また気持ちが悪かった時の事を思い出してしまった。
中は何て事は無い、むしろ楳図かずお風のイラストなどが気持ちを和ませる。
そして芝居では説明が無かった、ワンダー正光が戻って来なかった理由が描かれている。
やはり丸尾末広は絵が上手い、好きだ。
たぶん、丸尾が好きな人は楳図も好きで、古屋兎丸も好みなのではないかな?

2012.11.12

■少女椿 [演劇]

少女椿
廻天百眼劇場公演『少女椿
 2012年11月11日(日)19:00~ ザムザ阿佐谷
 原作/美術:丸尾末広 脚本/演出:石井飛鳥 主題歌:犬神サーカス団

父は家出し、母は病死、一人ぼっちになった12歳の少女みどりちゃん。
見世物小屋の親方にだまされて連れて来られたが、下劣な芸を強要される辛い毎日。
「おうちへ帰りたい、遠足に行きたい、お父さん迎えに来て」と切実に祈る。
しかし、手品師ワンダー正光がやって来てからみどりちゃんの生活が一変する…ドラマ

昭和初期の混沌とした時代、おどろおどろしい怪奇幻想、エログロナンセンス…おぉ、私が好きな雰囲気ではないかヽ(´▽`)/
可哀そうなみどりちゃんは、安達祐実のように可憐な女性が演じていたので、ひときわ同情を誘う(金は払った)。
ワンダー正光の表現の仕方も良い感じ。
苦悩する若者達の姿は、客席に座る人々の心を映した物か…

セリフもかっこいい…
「月は衛星ではない あれは空にあいた穴だ 向こうの世界の光が穴からもれているから 光って見えるのだ]
…と思っていたら、丸尾末広の言葉だったらしい、本を読み返すとしよう。

原作の漫画はバス亭付近で終わるが、芝居ではこの後、機械や吸血鬼や歌手などになったみどりちゃんが歌い踊る。狂った少女の精神世界だったのかしら? ここら辺が廻天百眼のオリジナルなのかも。
面白かった、また観たい!

2012.11.11

■カチン祭 [演劇]

カチン祭チラシ  カチン祭チラシ
Theatre MERCURY 2012年度冬公演 『カチン祭
 2012年11月10日(土) 19:00~ 駒場小空間
 作・演出:山田真与 出演:小野冬樹、小林志歩、他

肉体への戒厳令
来る花鎮祭に備えて私
お肉はもう食べません
聴こえる
嘶くエンドレスワルツが

姪が所属する演劇サークル「シアターマーキュリー」の芝居を見に行った。
この日は朝から具合が悪く、はずせない用事ばかりで多忙の為ヨレヨレの状態だったのだが、付き合いは大切との事で頑張って行ったが、う~ん(;´д`)

内容が分からない…

病院に入院している少年少女、いじめられている少女と少年、障害がある町長の息子と少女、画廊で働く青年と少女、見舞いに来る男と女、看護婦…
群像劇でバラバラな出来事が最後に集約されて一つの物語になるのかな? それぞれに伏線が張ってあって最後に回収するのかな? と色々想像したが、何も繋がらずいつの間にか終わってしまった。
結局は実験劇だったのかもしれない。

私の理解力が低いのかと思い、一緒に行った姉に確認したところ「わからなかった」との事。
チラシを見てもあらすじが書かれていないし、サイトに書いてあったのは上記の抽象的な文章のみ。
前回の『悪い奴』が面白かっただけに、とても残念。

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