■竜が最後に帰る場所 [小説]
恒川光太郎/著『竜が最後に帰る場所』(2010)講談社
5編の短編集、表紙絵はそれぞれの小説に登場するキーワードを表している。
「風を放つ」
大学生のシゲの携帯へ知人の彼女であるマミから電話がかかって来た。彼女は馴れ馴れしく、会う約束を交わしたが、不愉快なやり取りに結局、無視を決め込む。しかし、しつこい彼女は「魔法の小瓶を持っている」と言ってきた…
あまり知性を感じられないマミに、小瓶の逸話が創造できるのであろうか、ちょっと違和感があった。
「迷走のオルネラ」
彼は孤独な少年の救世主なのであろうか…
詩的な世界に身体から心が切り離され、浮遊する。黒いのか白いのか善なのか悪なのか、予想のつかない展開にファンタジー世界へぐいぐいと惹きこまれる。
少年はヒーローを待ち望み夢見るが、これはダークなファンタジー、ある意味『オールド・ボーイ』。
“月猫”読んでみたいね!
「夜行の冬(やぎょうのふゆ)」
時折、夜中に遠くで聞こえる音は<夜行様>が歩いている。一人で質素に暮らすぼくはある夜、シャランという鈴の音を耳にし、彼らと行動を共にする。夜が明けると僕の世界は変化していた…
冬になるとシャンシャンと外から音が聞こえてくるね、タイヤチェーンの音だよ。
『リプレイ』とか『バタフライ・エフェクト』とか。はたまた「秋の牢獄」とか、「神家没落」とか。
「鸚鵡幻想曲(おうむげんそうきょく)」
人付き合いが苦手な宏は、アサノという青年にキーボードを見せてくれと頼まれる。アサノには擬装集合体を解放する能力があり、集団の中で奇異な印象を放つ物があったなら、それは何かが集まって別の物に化けているのだと言う。半信半疑な宏の部屋に上がり込んだアサノの本当の目的とは…
やはりこれも、先の読めない意外な展開にめくるめくファンタジー世界をさ迷い、読後に息をするのを忘れていた事に気付く。
「ゴロンド」
大昔から地球に生息している(かもしれない)、かなり長命な翼竜の一生を文章で表現。最初のイメージは「スイミー」。
こちらの書評に好感が持てた。
私はドラマのある“猫”と“オウム”の話が好きだ。
レンタル屋には無いプログレとは? 五大プログレやネオ・プログレ、プログレ・メタルでは無いであろう。新月や、美狂乱とも考えたが、変幻自在で先読み不可なイメージの“ケストレル(Kestrel)”だったら素敵。
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