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2010.07.31

■呪葬 [小説]

Akihiko Kitakami by Jusou
北上秋彦/著『呪葬(じゅそう)』(2000)A-NOVELS アスキー

父との確執の為、故郷から遠く離れて暮らす亜希子。継母の連子である弟から助けを求める手紙が届いた。
同じ頃、連絡がとれなくなった姉を探す決心をする史郎。
岩手県北部にある隔絶された村を目指し、二人は偶然出会う。
その村を52年の時を経て再び惨劇が襲った。死霊達がさ迷う村と化していたのである…ホラー/サスペンス

死霊列車』が面白かったので、その8年前に出版された『呪葬』も読む事にした。解説を見る限り、どうやら角川ホラー文庫『吸血蟲』(2008)と同じ内容のようで、タイトルを変えて他社から再出版されたようである。

人に咬みつき血を吸うドラキュラの話かと思いきや、貴志祐介/著『天使の囀り』のように虫に寄生されてゾンビ化した村民、孤立した村落での恐怖の数日間。いわゆる密室物、怪異伝承といった雰囲気。
わりと納得できる解釈がなされた小説だが、『死霊列車』では親切な解説と感じた文章が、本作ではわざとらしい説明という印象を受けた。

同じ作家なのに、何故?

たぶん、登場人物が言い訳ばかりしていて、感情移入するだけの魅力に乏しく、抵抗を感じてしまったからであろう。
何よりも、青森に近いのだから訛りがあってしかるべき、史郎以外の人物の口語体が不自然なのである(私は岩手県南部出身)。

読みやすいのだが、ありきたりのストーリーで先が予想できる。
小5の少女に対してあまりに過酷な状況、そして「離さない」と言いながら少女を一人にするのは不自然過ぎ、何かがあるに決まってる。しかし、ディズニー映画では子どもは死なないのよ! そんな風にステレオタイプな小説。
「~じゃ」と言う頑固な老人、けな気な少女、心に傷を抱える主人公達、定番の登場人物がゾロゾロ出てくる。
うじが湧き、身体が腐ってゆくゾンビ達だが、リアルさが伝わらずそれほどおぞましいとは思えない。
死霊列車』の方が断然面白い。

2010.07.13

■死霊列車 [小説]

Zombie Train
北上秋彦/著『死霊列車』(2008)角川ホラー文庫

ある夏の日、風邪をこじらせて入院した患者が発端だった。
錯乱し、誰彼構わず咬みつき、咬まれた者はダーズを発症、ゾンビと化して人々を襲う。
そして、瞬く間に日本中に蔓延してしまった。
家族を失った15歳の少年・翔太。彼はトロッコ列車「奥出雲おろち号」を稼動させ、非感染者達を乗せて北海道を目指す…ホラー

久しぶりに面白い本に出会った!
貴志 祐介以来だろうか、一晩で一気読み。おかげで貫徹…

ずっとホラー小説大賞受賞作品を読み続けていたが、佳作ではあってものめり込むほどでは無く、中だるみ状態だった。
気分転換に読んだ『死霊列車』にこんなに夢中になるなんて…こういう本こそ大賞にふさわしいのではないだろうか。

ゾンビ映画好きなので、だいたい観ているから、どこかで聞いたようなフレーズが出てくる。しかし、そこもまた理解しやすいところ。
幾分、説明的でくどい印象もあるが、自分の想像の幅を広げてくれて、より一層頭の中で情景を組み立てる事ができる。

正常に機能しなくなった日本。政府は中枢機能を北海道へ移し、腐臭漂う町に人々は取り残された。当然、電力供給も止まってしまった中、日本海側沿いをひた走るディーゼル機関車「おろち号」。
それを運転するのはの10代の鉄道オタク、かなりしっかりしているのである。乗り合わせたのは、元鉄道職員、女子大生、動物看護士、研究員、そして秘密任務を帯びた自衛隊員達。
次々と彼らに襲い掛かる苦難は変化に富み、飽きさせない。時間制限のある、先の読めない展開に緊張を強いられる。
そして…まさか! そんなー!!

パンデミック(爆発感染)という言葉で連想してしまう『感染列島』のようなありきたりな内容では無いし、タイトルから『処刑列車』とイメージが重なるが、あんなわざとらしい内容でもない。

思わず、彼らがたどった軌跡を旅してみたくなる鉄道ミステリーならぬ秀逸な鉄道ホラーである。鉄サスと呼んでもいいかも。
“彼”の末路が気になる、ぜひ続編を!

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