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2010.03.15

■夜市 [小説 恒川編]

Yoichi by Tsunekawa Kotaro
恒川光太郎/著『夜市』(2008)角川ホラー文庫

ここで手に入らぬ物は無い“夜市”、そこは妖怪達があらゆる物を取引する場所。
ずっと昔、5才の弟を人攫(さら)いに売り渡した裕司は、彼を買い戻す為に友人のいずみを連れて、青白い炎が灯る幽玄な“夜市”を訪れる。親切な老紳士に案内され、再び人攫いの店にたどり着く。「夜市」…ファンタジー/ホラー

角川書店主催の<第12回(2005)日本ホラー小説大賞>受賞作『夜市』(2005)、ライトノベルのような薄さなので手軽に読めるなと思い、古本屋で手に入れた。
“学校蝙蝠”などという、冒頭の異様で詩的な文章にてっきり『姉飼』等の著者・遠藤徹のようなエログロ怪奇幻想だと思ってしまった。
だが、全く裏切られた…
手をのばせば届きそうな、しかし足を踏み入れる事のできない裏世界での美しくも哀しいお伽噺、昭和ノスタルジーとも言える幻想小説2編が収録されていた。

裕司がどういう青年かはわからない、弟の名前さえ明らかにされない。しかし、彼らの苦悩はひしひしとこちら側に伝わってくる。物語が進むに連れ、登場人物の関わりが明らかになった時、ハッと息をのむ。

もがくほど切ないある夜の出来事。
とても余韻の残る話で、誰もがその先を、何かを、5年後を、いずみに、期待するのではないだろうか。

いつの日か 会う。それが、生きる目的だった。(p.72)
いつか涙が止まる夜が来るかもしれない…

*    *   *
12歳の夏、暇を持て余していた私と親友のカズキは、お稲荷さんの裏にある未舗装の道に入り込んだ。しかしそこは神々の道、大昔から日本にある“古道”で本来、人間が来るべき場所では無かった。
青年レンに導かれ、出口へと歩を進めるが、不運にもカズキが命を落としてしまい、死んだ人間を甦らせる事ができると言う“雨の寺”を目指す。「風の古道」…ファンタジー/ホラー

以前、武蔵野市に住んでいたので、容易に風景が想像できる。
畑が点在し、曲がりくねった遊歩道が走る郊外の町。黄土色の自転車で走り回った日々を思い出す。
『ペット・セメタリー』『キタイ』のようなイメージが湧くだろうが、そんな事を言いたいわけでは無い。思いがけない展開に心を動かされるであろう。

どちらも脱出不能なダンジョンに入り込んでしまった少年達の話。
それらは日本が舞台なものだから身近に感じられ、夏休みの思い出のような懐かしい空気が漂い、センチメンタルな気分になる。
言うなれば、トトロや千と千尋の少年版かな(アニメ観た事ないんだけど)。

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