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2010.03.14

■雷の季節の終わりに [小説 恒川編]

Kaminari no Kisetu no Owarini by Kotaro Tsunekawa
恒川光太郎/著『雷の季節の終わりに』(2009)角川ホラー文庫

地図には載っていない隔絶された海辺の漁村“穏(おん)”に住む少年・賢也。
この地には、冬と春の間に“雷季”という天候が荒れ狂う季節がある。
この神の季節とでもいう時期に、“風わいわい”の存在を教えてくれた姉が突然姿を消し、賢也の中に何者かが宿った。
親友・穂高のおかげで平穏な日々を過ごしていたが、行ってはいけないと言われている“墓町”で知人を見かけた時から、賢也の運命の嵐が吹き荒れる…ファンタジー/アドベンチャー/ホラー

“恒川ワールド”2冊目『雷の季節の終わりに』(2006)、孤独な少年の切なくもみずみずしい冒険談。
…とは言っても、少年達のある一日を描いた映画『スタンド・バイ・ミー』では無い。風霊鳥がいるからって映画『ハリー・ポッター』でも無い。
どこかにあるかもしれない異界、現実の世界とちょっとずれた場所にある隠れ里“穏”にまつわる、賢也の人生に影響を及ぼした者達の物語を織り込んだ叙情的な伝奇とも言えるお話。

チェイス物が好きなので、ロバート・R・マキャモン/著『マイン』を思い出した。内容はまったく違うが、逃げる様がスリリングであまりの緊張に一気読み。

殺しにくるということは、殺されても構わぬというのが道理だ。それを忘れるな。
おまえが生き延び、どこか別の地で成長をすることを俺は祈る。そのように祈っている人間が、たった一人としてもここにいることを忘れるな。(p.117)
大渡さん、カッコいい

あるいは、私は明日には殺されてしまうのかもしれないが、今は死よりも生を考えよう。少しでも遠くへ。(p.119)
12歳ほどの少年にここまで言わすか
途中、一見関係の無い話が挿入されるが、これが後半へ進むに連れ、重要な意味を持つ。 読み進めるうちにあちこちに散りばめられていた余談が見事につながり、全てが明らかにされ、やがて訪れる運命の嵐の後、少年は雷から遥かに遠ざかってしまった…

めったに読み返す事の無い私だが、この本は“もう一度読みたい本”No.1だ。またもや引きずる読後感に、一つ残った疑問を勝手に想像してしまう。黄色いシャツの男・早田浩司のイメージは

あー、そうか…これは映画『レオン』なのだな。最後に残った者が協力者を得て、共に禍々しい幽鬼を葬る、和製RPG。
リーダーよ、9月3日。昼。荒川自然公園に集え! そこで、血を空へ巻き上げる男を目撃するであろう…(嘘)

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» 雷の季節の終わりに     恒川光太郎 [雨の日の日曜日は・・・]
デビュー作「夜市」がすっかり気に入り、次回作は見ずてんで買いますと書いたとおり、すぐに購入したのですが、他に読む本が多く、結局、昨日やっと読了しました。 ただ読むのが遅れたのは、今回が300pを越える長編なので、出来栄えを少し懸念していたせいもあります。 作風から幻想的な物であることは予想できるのですが、短い夢を紡ぐより、読者を長きにわたる夢に浸らすのは遥かに容易ならざることだからです。 ところが結果は期待を上回る素晴らしいものでした。 話は穏と名づけられ... [続きを読む]

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