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2010.03.22

■古川 [小説]

Furukawa by Tatsuhiko Yoshinaga
吉永達彦/著『古川』(2001)角川書店

いつもは穏やかだが、大雨が降ると氾濫する“古川”。その川沿いに立ち並ぶ長屋に住む8歳の少女・真理は、2歳半の弟・真司と優しい父母と共につつましく暮らしていた。
台風で雷鳴が轟く夕時、裏戸を叩く者がいた。
3年前に水死した妹・真弓が真司を連れ去りに来たのだった。「古川」…オカルト・ホラー

角川書店主催<第8回(2001年)日本ホラー小説大賞>短編賞受賞作「古川」は和物の正統派オカルトホラー。本書『古川』には「冥(くら)い沼」も収録されていて、私は空想好きな少年の冒険物語のような後者の方が好きだ。

「古川」は川で溺れた少女のつのる恨みが実体化し、残された家族を襲う、水中におけるとてもイマジネーションに富んだ異世界バトル。
それも、郷愁を誘う昭和30年代を舞台とした柔らかな関西弁のやりとりに風情があり、バトル自体も緊迫に満ちたというよりは運動会を応援しているような気分になる(グロいホラー慣れしているもんで…)。

大阪の川の物語と言ったら、映画『泥の河』が頭に浮かぶ。しかし、あんなに暗い雰囲気では無く、むしろ切ない幽霊の心を救済する家族愛に満ちたお話。

*    *   *
小学2年の太一は製材所を営む父との二人暮し。
近所の沼には女の幽霊が出るとの噂があり、いつしか母親の死体が沼に沈んでいると思い込んでしまう。園まり似の母に逢いたいが為に太一は肉を餌に釣りをする。「冥い沼」…ドラマ/ホラー

こちらもまたノスタルジックな夏の日の少年の話で、孤独な少年が想像力逞しく、余計な事を考えてしまう。
エビガ二釣り、少女、肉屋、ギンヤンマ、田代先生、老人…と奇妙な出来事が、背中を徐々に這い登るように恐怖感を増幅させてゆく。
そして、太一の支えとなる男気の竜夫がいい味を出している。

太一、男はな、『ぼく』言う時と、『おれ』言わなならん時がある。
もし怖いこと、つらいことがあった時には、男やったら逃げんと、おれがする、おれはやる、言うて立ち向かっていかんとな。(p.159~160)

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