フォト

サイト内検索



  • ネタバレ裏サイト
    *Hello Nico Another World

« ■紗央里ちゃんの家 [小説] | トップページ | ■おがみむし [小説] »

2010.03.29

■庵堂三兄弟の聖職 [小説]

Andou Sankyoudai no Seisyoku by Junjo Shindo
真藤順丈/著『庵堂三兄弟の聖職』(2008)角川書店

千葉県茂原市。庵堂家の三兄弟、長男・正太郎は父の後を継いで遺工師となり、次男・久就は東京でサラリーマン、汚言症を患う三男・毅巳は家業を手伝っている。
父・明夫は永眠者の肉体を身近な生活用品へと作り変え、遺族に遺工品を引き渡すのを生業として来た。その父の七回忌を前に正太郎は仕事を休むつもりでいたが、のっぴきならない仕事を叔父・四万木が持ち込んで来た。
事故に遭って亡くなった豊島興業会長の一人娘・さおりの無残な肉体を美しく甦らせ、保存する事だった…ホラー/ドラマ

角川書店主催<第15回(2008年)日本ホラー小説大賞>受賞作『庵堂三兄弟の聖職』、作者は執筆に専念するため仕事を辞めて、部屋でひたすら書き続けていたそうだ。

最初はデジャヴ感、工房の様子に平山夢明のホラー小説を連想した。
しかし読み進めるうちに考えは変わった、これは家族の再生をテーマとした人間ドラマである。ただし奇妙だけど。

グロい仕事でありながらも職人に徹した正太郎の真摯な姿や、心のわだかまりをやっと自分で解明しようとする久就、自分の幸せを掴もうとすればする程ドツボにはまってゆく毅巳、久しぶりに集まった3人の苦悩と葛藤をハイテンションに描きながらも、不器用な人間達の切なさも感じられる。
砕けた口語体の文章に取っ付きの悪さを感じたけれど、分かりやすい内容でスラスラと読めた。
3人のバラバラな個性が良いバランスを保っていて、以前知人が子供を生むなら「2人だとライバル、3人で社会になる」という話をしていたのがよく分かる。3本の矢と言うより三輪駆動車と言ったところ、3人で突っ走るイメージ。
こういった、わりと私が読まない傾向の雰囲気で全体的に漂う喧騒感から、ボリス・ヴィアンを初めて読んだ時の気持ちを思い出した。あれは遠い昔、私がまだ女子高生だった頃…かな? あやふやな記憶(^^ゞ

遺体の解体と再生が綴られているが、ほとんどの人が抵抗あるだろう。でも、リサイクルショップのオーナーと考えればイメージしやすいのではないだろうか。中古屋の店主がテレビを水道につながれたホースでジャブジャブ洗って、映るように修理していたよ。

将来なりたいものが<皮ジャン><皮パン>、<スーパーボール>には笑った。よくこんな事が思いつく物だと感心してしまう。登場人物もイカレてるが、これがまた一生懸命なので嫌な感じはしない。どんなに失敗しても真面目に取り組む人に好感を持てるのと同じ感覚。
ホラーであってホラーでは無い、ちょっと風変わりなダークファンタジー的ホームドラマ。二つほど解決していない疑問があって消化不良気味、いつか続編が出るかな???
地図男』はハズレだったけど、こちらはアタリ、『RANK』も読まなきゃね。

« ■紗央里ちゃんの家 [小説] | トップページ | ■おがみむし [小説] »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/14693/47937786

この記事へのトラックバック一覧です: ■庵堂三兄弟の聖職 [小説]:

» ケノーベルからリンクのご案内(2010/03/30 09:21) [ケノーベル エージェント]
茂原市エージェント:貴殿の記事ダイジェストをGoogle Earth(TM)とGoogle Map(TM)のエージェントに掲載いたしました。訪問をお待ちしています。 [続きを読む]

« ■紗央里ちゃんの家 [小説] | トップページ | ■おがみむし [小説] »