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2007.08.25

■狂気の果て [小説]

Body of Truth by David L. Lindsey
デイヴィッド・L・リンジー/著『狂気の果て』(1995)新潮文庫

ヒューストン警察のスチュアート・ヘイドン刑事。以前、グアテマラ平和部隊で働いていた富豪の娘・リーナが失踪し、悲嘆にくれる母親から相談を受ける。
両親に依頼された探偵・フォスラーは友人であるヘイドンに国際電話をかけ「手伝ってくれ」と告げた。
翌日グアテマラへ旅立ったヘイドンは、空港に迎えに来なかったフォスラーの宿泊先を訪ねると、部屋中血まみれ…サスペンス

主人公は警官ではあるが警察小説ではなく、国際スパイ小説や社会派小説のようだ。
1992年、軍事政権下である中米グアテマラを舞台にしたアメリカ人女性を探す旅。まるで軍事クーデターで混乱した南米チリを描いた映画『ミッシング』(1982)を彷彿。
しかし、失踪したのはヒッピーの青年ではなく、インディオからの信頼も厚い正義感溢れる女性。でも、前者は実際に起こった事件で、後者はフィクション。
だが、作者の微細な描写ゆえにリアリティがあり、一度も行った事が無い国・グアテマラをいきいきと想像させる…怖ろしくもあるけれど。

1996年に和平協定が署名されるまで、グアテマラは内戦状態にあり、軍が主権を握り処刑部隊が暗躍していた。その処刑部隊とは、誘拐されたインディオの子供達が仕立上げられた果ての姿。警察は軍の配下であり全く信用できず、金次第でどうにでも変わる。
そして、今日の友人は明日の敵にもなり、誰が本当の事を言っていて誰が嘘をついているのか、先が全く予想できない緊張感ある小説だった。

“レジスタンス”と言うと聞こえがいいけど、“ゲリラ”と言うとイメージが悪い。“パルチザン”はどうだろう。どれも自分達の生きていく権利の為に闘っている人をも指す。他国に干渉されるのは嫌なものだ。
南米は比較的安定しているが、中米は未だに危険な地域。何故富める国・アメリカの付近は荒れているのだろうか、何故信心深い人達の国で殺し合いがあるのだろうか、スペイン人は罪作り…と色々と考えさせられた小説だった。
地球って北半球はだいたい繁栄してるけど、南半球は貧富の差が激しく不安定な国が多いな、やっぱ日本に生まれて良かったと思える。

しかし、「はしか」は貧しい国にとってかなり深刻な問題。
例えワクチンや募金が集まろうと、権力者が搾取してしまうため、必要な人々に行き渡る事は無い。
たかが「はしか」によって、1ヶ月で千人以上の子供たちが絶命し死体が道に並べられ、何百人もの子供たちが感染菌を取り除く為に眼球をくり抜かれ親元に帰されると、グラヘダ医師は言う。
特に日本は「はしか(麻疹)」の輸出国と言われているが、わが国のせいで海外の人々が大変な思いをしているかもしれない、予防接種を受けるべきだと痛感。

久しぶりに読んだデヴィッド・L. リンジー。残酷さは減ったが、共感を呼ぶ素晴らしいハードボイルドな小説、こんな本が絶版だなんて悲しい。
1円だ、より多くの人に読んで欲しい。

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